京都・南禅寺界隈にも別荘を構えた旧加賀藩重臣・横山家の書院をルーツとする近代和風建築。石川県指定文化財の御殿に、2023年春に絶景カフェもオープン!
無限庵について
「無限庵」(むげんあん)は加賀温泉郷を構成するうちの一つ・山中温泉の温泉街で公開されている石川県指定文化財の近代和風建築。そのルーツは加賀百万石・前田家の重臣:横山家のお屋敷として造営された書院建築。
2023年4月にはその一部をリノベーションし、カフェ・茶房「うるはし」がオープン。山中温泉の景勝地“鶴仙渓”の自然を感じながらランチやスイーツをいただけます。
奈良時代に高僧・行基の開湯と伝わり、以来1,300年の歴史をほこる“加賀の奥座敷”山中温泉。かの松尾芭蕉も“おくのほそ道”の旅路で訪れ、温泉街のほとりにある景勝地“鶴仙渓”にある『道明が淵』は国指定名勝『おくのほそ道の風景地』に含まれます。
そんな温泉街の奥にたたずみ、鶴仙渓のビュースポットの一つ“こおろぎ橋”を渡った先にあるのが「無限庵」。
そのルーツは加賀藩家老で重臣“加賀八家”にも数えられた横山家が、明治時代末期に着工〜大正時代(1912年)に金沢市内に造営した武家書院建築。
鉱業で財を成した横山隆平男爵の分家(弟・横山隆興の子:横山章)が施主で、完成から10年後の1922年(大正10年)に同じく北陸で活躍した実業家・新家熊吉が別邸としてこの地に移築されました。
横山家は京都の名庭師・七代目小川治兵衛を招いた庭園が残る現『辻家庭園』や現『石川国際交流サロン』と言ったお屋敷が金沢市内に残るほか、京都の南禅寺界隈別荘『智水庵』でも知られます。
1983年(昭和58年)に「財団法人無限庵」に移管され一般公開が開始、2021年に地元の伝統工芸“山中塗”を受け継ぐ茶乃湯塗師・前端雅峯さんが設立された公益財団法人前端文化振興財団に運営が引き継がれ現在へ至ります。
移築は経ているものの、その建築は加賀藩主・前田家のお屋敷として国指定重要文化財となっている『成巽閣』とも並び称される、加賀藩の上級武家屋敷の様式と当時の最高級の贅の尽くされた意匠が見所の近代和風建築。その面影が感じられる欄間、近代らしい洋間や磨りガラス、そして加賀藩重臣にのみ許された群青色の壁に茶室…。そんな室内から外を眺めると鶴仙渓(大聖寺川)の眺望。
そんな無限庵の非文化財部分をリノベーションし、2023年4月にオープンしたのが『茶房うるはし』。目の前に鶴仙渓を眺めながら地元食材を山中塗の器で味わえるランチやスイーツをいただける絶景カフェ!
なお、カフェだけじゃ物足りない…という方向けには、文化財の書院を独占して茶懐石をいただける本格的なコースも(茶懐石は5名〜の予約制)。
川べりの高台部に建つ無限庵のエントランスや軒下には露地風のお庭も。また本来はその高台部から川沿いの低地部へと広大な庭園が続いているのですが、2023年時点では入園できない形になっています。
そのほか室内には尾形光琳の扇をはじめ、地元・石川県の九谷焼や茶道具などの古美術品が展示されているのも見所の一つ。
ちなみに前述の茶房うるはしはワーケーションで山中温泉へ訪れる方向けにWi-Fiやコンセントが利用できる席もあります。温泉と絶景カフェでリトリートしたい方にもオススメ!!
(2023年11月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)