山中温泉 芭蕉の館

Yamanaka Onsen Basho-no-yakata Garden, Kaga, Ishikawa

かの俳人・松尾芭蕉が“おくのほそ道”の旅路で絶賛した山中温泉…温泉街最古の宿屋建築に開かれた資料館には、国指定名勝“鶴仙渓”の借景が美しい庭園が!

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山中温泉 芭蕉の館(旧扇屋旅館)庭園について

「山中温泉 芭蕉の館」(やまなかおんせん ばしょうのやかた)は加賀温泉郷を構成するうちの一つ・山中温泉の総湯からも程近くにある観光施設。江戸時代を代表する俳人・松尾芭蕉が“おくのほそ道”の旅路で山中温泉の旅館に逗留したことがその名の由来。明治時代の旅館建築や景勝地“鶴仙渓”を借景とした庭園もあります。

奈良時代に高僧・行基の開湯と伝わり、以来1,300年の歴史をほこる“加賀の奥座敷”山中温泉。
江戸時代の元禄年間、この温泉地を「扶桑三の名湯」と絶賛したのがかの松尾芭蕉。9日間『泉屋』という旅館に滞在した芭蕉は奥の細道に《山中や/菊はたおらじ/湯のにほひ》と詠み、そこから総湯『菊の湯』の名が付けられました。なお“鶴仙渓”にある『道明が淵』は国指定名勝『おくのほそ道の風景地』に含まれる絶景。(近くには『芭蕉堂』も)

そんな泉屋旅館の隣にあった老舗旅館『扇屋別荘』(旧扇屋旅館 別邸)を2004年(平成16年)に改装して開館したのがこの芭蕉の館。玄関の外観こそコンクリート造で新しくなっていますが、中に入ると当時の面影残す和風旅館建築――。その大部分は明治38年に建てられた近代和風建築で、昭和時代はじめの大火を逃れた「山中温泉最古の宿屋建築」。

その魅力の一つが、高級旅館もある温泉地の中で随一の規模をほこる庭園。建築と同じく明治時代に作庭がはじまり、その後迎えた昭和の全盛期からは1/4程度に縮小しているそうですが、苔、紅葉、臥龍松、そして紅葉に染まる“鶴仙渓”の借景が美しすぎる庭園…!和風建築との組み合わせも◎。

なお玄関脇にある像は芭蕉とともに山中温泉を訪れた門弟・曾良との別れを表現した像。館内では山中温泉滞在時に松尾芭蕉が残した句や資料に関する展示のほか、当地の伝統工芸「山中漆器」の逸品/人間国宝・川北良造の作品などを鑑賞できます。また温泉街には芭蕉、曽良、その一行に加わった北枝、そして後年に訪れた高浜虚子などの句碑が点在。芭蕉の館で入手できるマップを手に巡ってみて。

(2023年11月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

JR北陸本線 加賀温泉駅より路線バス「山中温泉」バス停下車 徒歩10分/「こおろぎ橋」バス停下車 徒歩8分

〒922-0115 石川県加賀市山中温泉本町2丁目86-1 MAP

投稿者プロフィール

イトウマサトシ
イトウマサトシ
Instagram約9万フォロワーの日本庭園メディア『おにわさん』中の人。これまで足を運んで紹介した庭園の数は2,000以上。執筆・お仕事のご依頼も受け付けています!ご連絡はSNSのDMよりお願いいたします。
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