雪の旧三井家下鴨別邸

Old Mitsui Family Shimogamo Villa (Snowing), Kyoto

世界遺産『下鴨神社』からすぐ。三井財閥10代目・三井高棟が自ら設計に関わった国指定重要文化財の近代和風建築と庭園の雪景色。

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雪の旧三井家下鴨別邸について

「旧三井家下鴨別邸」(きゅうみついけしもがもべってい)は京都市左京区の京阪・出町柳駅や世界遺産『下鴨神社』のすぐ近くにある国指定重要文化財のお屋敷。大正時代に三井財閥・三井家の別邸として建立されたもので、主屋・玄関棟・茶室の3棟が国指定重要文化財。その前には池泉回遊式の庭園が広がります。近年はあじさい苑が拡張され、京都の新たな紫陽花スポットとしても人気。
何度も訪れている庭園ですが、ここでは2026年2月の雪景色を紹介!

>>初夏〜秋の旧三井家下鴨別邸の風景はこちら。

この邸宅の歴史について。世界遺産『下鴨神社』の南、鴨川デルタから程近くのこの地を三井家が購入したのは明治時代の終わり。三井家10代目・三井八郎右衛門高棟(三井高棟)によってまずは三井家の祖霊社『顕名霊社』が遷座。その際の建築を手掛けたのは『平安神宮』や東京の『旧前田家本邸』(こちらも国指定重要文化財)も手掛けた佐々木岩次郎によるもの。

それに続く形で、現在地よりも南側(街中)に建っていた三井家木屋町別邸の主屋(明治13年の建築)がこの地に移築。1925年(大正14年)に玄関棟と茶室が増築され、現在の姿に近いお屋敷が完成。
3階部分の望楼が特徴的な近代和風建築で、この構造は当初木屋町の鴨川沿いに建てられた際に東山を眺められるように設けられたものだそう。(※通常は2階ともども非公開ですが、ときおり特別公開が行われています!)

なお、三井高棟はこの下鴨別邸の設計に自らも関与したとされているのですが、東京の『江戸東京たてもの園』の『三井八郎右衞門邸』(※各地の三井家の遺構・部材を使って造営された)でも高棟が設計に関与した京都油小路邸の意匠が見られるのだそう(また、高棟筆の襖絵も)。

お座敷の前に広がる庭園の作庭は、高棟が茶道藪内流10代目・藪内竹翠紹智に相談の上、その養子・藪内節庵により作庭されたとされています。
三井家がこの地に移る以前から存在した園池を元に作庭。同時代に活躍した京都の庭師と言えば七代目小川治兵衛(植治)ですが、氏の庭園や近代の日本庭園に取り入れられはじめた「芝生」ではなく、お座敷の前には苔が広がり、その中に茶室へ向かう飛び石が配されている——それはやはり「茶人による、お茶室に向かう為のお庭」と言った意図や要素が感じられます。

なお、施設の所有が三井家から京都家庭裁判所に移った後は荒廃した時期もあったそうですが、2016年の一般公開開始にともない、京都の世界遺産『天龍寺』などの御用達をつとめる曽根造園さんより大正時代の姿に再整備されました。

南禅寺界隈別荘庭園の一つ『大寧軒庭園』を手掛けた藪内竹窓に、『両足院庭園』を手掛けた藪内竹心——近代京都で名を馳せた七代目小川治兵衛とはまた異なる、近代京都の重要な庭園スタイル——を感じられる庭園として、ぜひお庭にも注目してみて!

(2026年2月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

京阪本線 出町柳駅より徒歩4分
京都市営地下鉄烏丸線 今出川駅より徒歩20分
最寄りバス停は「出町柳駅前」バス停下車 徒歩3分

〒606-0801 京都府京都市左京区下鴨宮河町58-2 MAP

投稿者プロフィール

イトウマサトシ
イトウマサトシ
Instagram約9万フォロワーの日本庭園メディア『おにわさん』中の人。これまで足を運んで紹介した庭園の数は2,000以上。執筆・お仕事のご依頼も受け付けています!ご連絡はSNSのDMよりお願いいたします。
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