都会のオアシス…幕張新都心の現代建築も借景の、平成年代に作庭の池泉回遊式日本庭園。数寄屋建築の巨匠の門下による数寄屋建築/茶室“松籟亭”も。
幕張海浜公園 日本庭園“見浜園”について
「見浜園」(みはまえん)は千葉の幕張新都心地区の都市公園「千葉県立幕張海浜公園」内に平成時代はじめに作庭/開園し、雑誌の“日本の庭園100選”にも選定された池泉回遊式の日本庭園。
幕張メッセや千葉マリンスタジアム、そして多くのオフィスビルや商業施設、ホテルが立ち並び、各種・展示イベント開催時にはどこか忙しい空気感ただよう幕張新都心――。その中で緑~木々に囲まれ、ほっと一息つける“都会のオアシス”のような空間、それが見浜園。
見浜園の開園は1990年(平成2年)。海外からも多くビジネスマン/賓客の訪れる幕張新都心において、《日本の伝統的文化を表現し、接してもらうこと》を目的に造園。その名は平安時代の日記物語『更級日記』での幕張海岸の表現から引用され命名されました。(ちなみに「美浜区」の誕生は庭園開園後の1992年)
16,000平方メートルの広さをほこり、その中に池/小川/築山などの起伏のあるオーソドックスな池泉回遊式の日本庭園。海岸線の近くらしくマツが多く植わり、夏には青々とした風景を、冬場にはこの池にも海鳥が飛来します。園内南部の洲浜からの眺めは『京都仙洞御所』を思い出しつつ、周囲の現代的な建築もこの庭園にとってはアイキャッチに!
庭園の設計を手掛けたのは『千葉市花の美術館』(稲毛海浜公園)や『府中の森公園』も手掛けた株式会社ライフ計画事務所。幕張メッセ一帯のランドスケープも手がけられています。
そして庭園の入口に近い場所にあり、庭園のアイキャッチにもなっているのが茶室『松籟亭』。立礼席では追加料金でお抹茶と千葉の老舗の茶菓子をいただきながら庭園を眺めることができます。
茶室の設計は、数寄屋建築の巨匠・吉田五十八に師事した野村加根夫さん、施工は水澤工務店。京都・北山杉をふんだんに用いた本格的な和風建築でありつつも、立礼席の天井のデザインが直線的で現代的/モダンな雰囲気を醸します。野村さんは近い所では東京の都市公園『江戸川平成庭園』の“源心庵”も手掛けられています。
千葉マリンスタジアムで音楽イベント等が開催されていると、ライブの音はこの庭園まで聞こえてきます。伝統的な空間+現代的なロック/ポップ・ミュージックの組み合わせもまた良き…!そんなイベントの合間にも散策してみて。
(2013年12月、2018年8月、2024年8月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)