
2020年〜大正時代創業の老舗料亭による活用がスタート…“北野異人館街”のメインストリート沿いにそびえる海運王“乾家”ゆかりの近代和風建築。
松廼家(三宮ゲストハウス)庭園について
「松廼家」(まつのや)は神戸で大正時代に創業した老舗料亭。現在は神戸の“北野異人館街”のメインストリート・異人館通り(山本通り)に面する明治時代のお屋敷『三宮ゲストハウス』(神戸市伝統的建造物)を活用し営業されています。洋館/和館の並ぶ近代和風建築から眺める庭園も。
2023年には『神戸モダン建築祭』で公開(外観のみ)されたことも記憶に新しい松廼家/JR西日本 三宮ゲストハウス。2022年冬にランチ(昼御膳)利用した際のお庭の写真を紹介。
まずは料亭『松廼家』の歴史について。1917年(大正6年)に現在地とは異なる神戸・花隈で創業。以来、スター俳優・石原裕次郎、昭和の文豪・川端康成、司馬遼太郎など文化人や関西政財界に好まれたものの、1995年の阪神・淡路大震災で惜しくも500坪の数寄屋造りの建物が全壊…。
一方の『三宮ゲストハウス』の歴史。ハンター坂を登り、国の重要伝統的建造物群保存地区にも選定されている異国情緒の町並み“北野異人館街”の一角にあるこの建物は松廼家の歴史よりも少し古く、1907年(明治40年)の竣工。
当初は貿易商・大林保吉の自邸として建てられ、その後“海運王”とも呼ばれた乾汽船の創業家、“乾財閥”の乾家の所有に。乾家の歴史的建造物としては神戸・御影の『旧乾邸』でも知られますが、あちらが本邸に対してこちらは別邸。(なお、奇しくも旧乾邸も阪神・淡路大震災で数寄屋造りの和館を失っています)
戦後に国鉄の寮に転用され、そのまま1987年に西日本旅客鉄道(JR西日本)の所有に。長く非公開でしたが、伝統的な建造物を活用したいJR西日本と老舗料亭がタッグを組む形で『松廼家』が市内の別の場所より移転し現在の姿となりました。
まず異人館通りからは高く積み上げられた石垣がとても印象的。中央の階段を登ると、向かって右手に洋館、左手に和館の並ぶ近代和風建築が現れます。洋館の裏側に立派な玄関があり、和洋折衷の意匠が楽しい館内でお食事をいただけます。
その和館の1階部分の「松の間」の前に茶砂のこじんまりとしたお庭、更にそこから見下ろす形で白砂の枯山水庭園、そして東側にある離れから見下ろす形で芝生のお庭が広がります。当時は特に芝庭がガーデンパーティーも楽しめる主庭だったのではと感じさせる。(更にその奥にある洋館も当初は同じお屋敷だったのかな?)
格式高いお店ですが、ランチ時間帯の「昼御膳」なら3,300円〜で体験可能(当時は2,750円でした)。ぜひ一度利用してみて。
(2022年12月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)
アクセス・住所 / Locations
JR神戸線 三ノ宮駅より徒歩15分
阪急神戸線 神戸三宮駅より徒歩13分
阪神電車 神戸三宮駅より徒歩15分強
〒650-0002 兵庫県神戸市中央区北野町4丁目2-5 MAP
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