竹中大工道具館

Takenaka Carpentry Tools Museum Garden, Kobe, Hyogo

“日本で唯一の大工道具の博物館”は和モダンな建築や庭園も見所!京都の数寄屋の名匠・笛吹嘉一郎の茶室(通常非公開)も。

庭園フォトギャラリーGarden Photo Gallery

竹中大工道具館について

「竹中大工道具館」(たけなかだいくどうぐかん)は大手建設会社・竹中工務店により設立された“日本で唯一の大工道具の専門博物館”。2014年の移転の際に新築されたモダンな和風建築を囲む複数の庭園があります。

JR東海道/山陽新幹線・新神戸駅からすぐ。アクセスも良く、前から「行きたいなあ」と思っていたけど行けてなかった竹中大工道具館…2022年5月に初めて訪れました!

1984年(昭和59年)に竹中工務店の創立85周年記念事業として設立された「竹中大工道具館」。昭和の時代ですでに電動工具や機械化が当たり前に進む中で、消えゆく大工道具を収集・保存し、展示を通じて職人/工匠の技と心を後世に伝えることを目的とした博物館で、3万5千点以上の道具・収蔵品の中から選りすぐりの大工道具や資料が展示されています。

当初は兵庫県庁や『相楽園』の近くに開館した竹中大工道具館。2014年に現在の新神戸の地へ移転し、移転しリニューアルオープンしました。

地上は平屋一階建て、そして地下は2階まである竹中大工道具館、設計・施工はもちろんすべて竹中工務店。現代の建築技術と伝統的な木造建築との融合を目指した“和モダン”な建築で…大きなガラス戸で開放的なロビーも、船底天井や木の大きなテーブル/チェアが温かみのある“和”の空間を演出。
テーブルやそれぞれデザインが異なるチェアも地元の職人/木工作家さんによる作品なのだとか。

そして建築だけではなく、六甲山の麓という自然のロケーションも活かされた竹中大工道具館。庭園は大きく分けて3つ。

■前庭
アプローチから建築越しに六甲山系の山並みをのぞむ前庭。建築のテラスから見て手前には芝生の斜面、そして奥(低地部)に竹林、巨大な石灯籠や枯流れが見られる枯山水庭園。作庭は地元・神戸の対馬造園店

■中庭(*散策不可)
ロビーから眺められる、こちらも六甲の山並みを借景とした中庭。なお写真でも飛び石が写っているけれど外に出ることは不可能です。

この中庭の奥にあるのが茶室“一滴庵”。新館の建築以前からこの地に存在したこの茶室は数寄屋師・笛吹嘉一郎により手がけられたもの。
笛吹嘉一郎と言えば嵐山の『大河内山荘』や、阪急創業者・小林一三の邸宅の茶室『即庵』等が有名な京都の数寄屋建築の名工…!中庭ともども通常非公開ですが、春・秋には特別公開イベントも。

なおこの“一滴庵”をスケルトンに写した茶室を展示室内で見ることができます。元々一滴庵は京都・大徳寺玉林院の「蓑庵」を写したもので、更にその写し。

■奥庭
最後に敷地の奥、休憩室の正面かつ“一滴庵”の裏手にある枯山水庭園。休憩室から正面に見るとここでも六甲山の借景が見事!

モダンな雰囲気をかもす枯山水で…勢い良く迫り出した細長い石の先端から広がる砂紋…最初見た時は「面白い舟石だなぁ」とか思ったけどし、ししおどしに見立てた“一滴庵”にちなんだ庭園…なのかな?作庭には日本の若手庭師、西海園芸・山口陽介さんやいのはな夢創園・猪鼻一帆さんが関わったとか。

企画展示はもちろんだけど、六甲山も近くモミジの多い空間はきっと四季ごとに訪れても楽しい!そして今度またいつか茶室の特別公開の際に訪れたい…!

(2022年5月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

JR山陽新幹線 新神戸駅より徒歩3分
神戸市営地下鉄西神・山手線 新神戸駅より徒歩5分
JR三ノ宮駅/阪急 神戸三宮駅/阪神 神戸三宮駅より徒歩20分強
三宮方面から路線バス「新神戸」「布引」「熊内6丁目」バス停より徒歩2分

〒651-0056 兵庫県神戸市中央区熊内町7丁目5-1 MAP

投稿者プロフィール

イトウマサトシ
イトウマサトシ
Instagram約9万フォロワーの日本庭園メディア『おにわさん』中の人。これまで足を運んで紹介した庭園の数は1,900以上。執筆・お仕事のご依頼も受け付けています!ご連絡はSNSのDMよりお願いいたします。
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