戦後5期も内閣総理大臣を務めた吉田茂の邸宅に造られた池泉回遊式庭園。吉田五十八による数寄屋建築も公開。
旧吉田茂邸庭園について
「旧吉田茂邸庭園」(きゅうよしだしげるていていえん)は戦後に総理大臣を5期も務めた吉田茂の邸宅に造られた庭園で、現在は神奈川県立の『大磯城山公園』の一部として公開されています。2013年より庭園が公開され、2017年より邸宅を含め全面公開。邸宅内の見学は有料ですが、庭園散策は無料です。
元々は吉田茂の養父・吉田健三がこの地に別荘を構えており、吉田茂は政界を引退後に没するまでの晩年をこの大磯の邸宅で過ごしました。昭和30年代に建てられた近代数寄屋建築の「新館」の設計は吉田五十八。敷地の中でも高台に建てられたこの邸宅からは相模湾や富士山の姿をのぞむことも。
池泉回遊式の日本庭園は昭和30年代に中島健の作庭によるもので、邸宅の周辺を手掛けたのは同じく造園家・庭園研究家の久恒秀治。庭園は海が近いので松林もあり竹林もあれば、一方で洋風のバラ園も。こうした多様性のある草木は当時から吉田が好んでいたものだそう。
元の邸宅は2009年に火災で全焼。現在の建物や庭園はその後整備されたものなのでまだピカピカですが、また年を重ねるごとに味が出てくるんだろう。その中でも入口の「兜門」や「七賢堂」が焼失を免れた建築で、「七賢堂」は同じく大磯に別荘「滄浪閣」を構えていた伊藤博文により明治期に建てられたもの。当初は明治維新の主要人物である岩倉具視、木戸孝允、大久保利通、三条実美の4人を祀った「四賢堂」で、伊藤の死後に「五賢堂」となり、その後吉田茂邸に移築され、西園寺公望、そして吉田の死後に吉田が祀られることで「七賢堂」に。時々「七賢堂特別開扉」イベントを開催しているようです。
また大磯城山公園のもう一部分はかつて旧三井財閥の別邸跡で、こちらにも日本庭園があります。また2018年には『明治記念大磯邸園』も公開されました(※期間限定公開。今後の常時公開は未定)。併せてチェック!
(2016年6月、2018年12月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)
アクセス・住所 / Locations
JR東海道本線 大磯駅より約2.5km(徒歩30分)※駅前にレンタサイクルあり。→こちら
大磯駅より路線バス「城山公園前」バス停下車 徒歩3分
〒259-0111 神奈川県中郡大磯町国府本郷551-1 MAP