旧伊藤伝右衛門邸

Kyu-Ito Denemon Regidence Garden, Iizuka, Fukuoka

筑豊の炭鉱王・伊藤伝右衛門が造営し、約10年過ごした歌人・柳原白蓮の美意識も反映された近代和風建築。庭園が国指定名勝、建築も国指定重要文化財に。

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旧伊藤伝右衛門邸/旧伊藤伝右衛門氏庭園について

「旧伊藤伝右衛門邸」(きゅういとうでんえもんてい)は筑豊の炭鉱王・伊藤伝右衛門が近代に造営し、氏が歌人・柳原白蓮(NHK朝ドラ『花子とアン』の準主役「蓮子」のモデル)と暮らしたお屋敷。庭園が「旧伊藤傳右エ門氏庭園」として国指定名勝、追って2020年には建物も「旧伊藤家住宅」として国指定重要文化財となりました。

JR新飯塚駅から約2km、旧長崎街道の住宅街の中に現れる長大な長屋門――。炭鉱経営で成功し、『筑豊御三家』貝島家安川家麻生家に次ぐ程の財を成した実業家・伊藤伝右衛門が明治30年代に造営、大正時代~昭和時代に掛けて増改築された広大なお屋敷。現在は飯塚市所有の観光施設として広く一般に公開されています。

計25部屋あるお屋敷は主屋をはじめ、書生室/事務室/骨董蔵/道具蔵/表物置/長屋門の7棟が重要文化財の対象(なお長屋門は福岡市天神にあった別邸から移築されたもの)。庭園に面した本座敷や主人居間は純和風な一方で(もちろん意匠や木材にも贅が尽くされている…!)、応接室や食堂、また別棟となる事務所は洋風な意匠の近代和風建築。
またその一部は白蓮(柳原燁子)を迎え入れるために整えられ、洋間のアールヌーヴォー調や九州で初の水洗トイレなどは白蓮の意向で整えられたと言われます。

邸宅も大きいですが、約7,500平方メートルの敷地の大部分を占めるのが庭園。広い芝生を主体として、中央に茅葺き屋根の四阿(あずまや)、その前に噴水のある心字池が配され、そして反り具合の目立つ石橋(太鼓橋)が架かり、四阿やお屋敷の各部屋からと様々なビューポイントが意識され眺望が楽しめる庭園。

近代の文化財日本庭園の中でもこれだけ全面的に芝生!といった庭園は稀有であり、また日本庭園の中に噴水~その先の茅葺屋根、中華風な太鼓橋…といった和洋折衷なデザイン性など、九州に複数ある鉱山王の大規模庭園の中でも最初に国指定文化財となっただけあり独特なデザイン性も目を引きます。

この庭園は白蓮の居室だった2階からも広々と眺めることができます。白蓮がそのペンネームで作家としての活動をスタートしたのはこの邸宅に居た頃。25歳も離れた二人の結婚生活は順風満帆ではなかったものの、伝右衛門はパトロン的な立場としても白蓮を支えました。そんな二人にも思いを馳せながらお屋敷を鑑賞してみて。柳原白蓮グッズも販売!

(2014年2月、2017年11月、2024年8月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

JR福北ゆたか線 新飯塚駅より路線バス「幸袋・旧伊藤伝右衛門邸前」バス停下車 徒歩2分
JR福北ゆたか線 新飯塚駅/浦田駅より約2km(徒歩25~30分)

〒820-0066 福岡県飯塚市幸袋300番地 MAP

投稿者プロフィール

イトウマサトシ
イトウマサトシ
Instagram約9万フォロワーの日本庭園メディア『おにわさん』中の人。これまで足を運んで紹介した庭園の数は2,000以上。執筆・お仕事のご依頼も受け付けています!ご連絡はSNSのDMよりお願いいたします。
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