“苔寺”白山平泉寺の一角に残る、室町幕府管領・細川高国作庭と伝わる苔の美しい枯山水庭園。国指定名勝。
旧玄成院庭園について
【冬季は拝観休止】
「旧玄成院庭園」(きゅうげんしょういんていえん)は京都・西芳寺と並ぶ“苔寺”としても名高い国指定史跡『白山平泉寺境内』の中にある国指定名勝庭園。作庭は室町幕府管領・細川高国によるものと伝わります。
2020年10月に初めて訪れました!奈良時代に建立され、越前の白山信仰の拠点として1,300年の歴史をほこる『平泉寺白山神社』も一面の苔が美しかったので個別に紹介しましたが、お目当ての庭園はこちら。
以前、3月下旬に庭園拝観について問い合わせたところ「雪が解けるまでは公開されない、大体例年5~6月から」というお答えがあり。ようやっと初拝観。受付は無人、入園料は50円ですが、いち庭園ファンとしてちょいと多めに志を…。
参道の途中にある一の鳥居からすぐ、現在は社務所となっているお堂に面する形で庭園があります。『玄成院』は参道にある『顕海寺』と同じく、戦国時代の一向一揆で全山が焼失した後に顕海和尚が再興したお寺の一つ。神仏分離令で廃寺となるまでは平泉寺の中心的な坊院だったそう。
細川高国により作庭されたのは室町時代後期の1531年(享禄年間)で、現存する庭園としては北陸で一番古い庭園と言われます。なお、国指定文化財等データベースの文には「慶長年間」とある。桃山時代~江戸時代初期。これは顕海により再興された以降の時期を指すのかも。
苔の名所・白山平泉寺境内の一角であるこの庭園も一面の苔に覆われた苔庭。建物前には苔による平庭が広がり、奥に境内の斜面を活かした築山と枯滝石組、その前に鶴島・亀島などが見られます。現在は結界が張られていますが、築山の上へ向かう飛び石なども配されているので、かつては回遊式庭園だったんだろう。
細川高国が作庭と伝わる庭園としては『北畠氏館跡庭園』、『旧秀隣寺庭園』があります。いずれも国指定名勝であり、趣味で作ったというよりは足利将軍家との関係性や当時の権力争いの中で築かれたもの。いずれも山の近い場所の苔が美しい幽玄な庭園――という共通する雰囲気はありますが、室町時代の『平泉寺』の幕府との繋がりが垣間見られる庭園です。
(2020年10月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)
アクセス・住所 / Locations
えちぜん鉄道勝山永平寺線 勝山駅より5km強(駅にレンタサイクルあり。超登り坂なのでケチらず電動を!)
【土日祝のみ】勝山駅よりコミュニティバス「白山平泉寺」バス停下車 徒歩10分⇨こちら
〒911-0822 福井県勝山市平泉寺町平泉寺56-63 MAP