KYOTOGRAPHIE 2022の関連企画で特別公開。近代の京都を代表する日本画家のひとり・今尾景年が大正時代に建てた京町家とその庭園。
久保家住宅(旧今尾景年家住宅)庭園について
【通常非公開/2022年春に特別公開】
「久保家住宅」(くぼけじゅうたく)は京都市の中心部・六角通新町西入ルにある京町家。元は明治~大正時代に活躍した日本画家・今尾景年(いまおけいねん)が大正時代に建てた自邸で、『久保家住宅(旧今尾景年家住宅)』として主屋・土蔵・門及び塀・中門の4棟が国登録有形文化財。
2021年までは『瓢樹』(ひょうき)という懐石料亭さんでした。京都・南禅寺門前で400年の歴史を持つ老舗『瓢亭』さんから大正時代に暖簾分けされたお店で、その門前を横切りながら「いつか入りたいなあ…」と思っていたのですが、残念ながら昨年末で閉店されました。
なお、場所を変えて仕出し店として再スタートを切られています。
>> 京都市東山区|仕出しの瓢樹|四季折々の松花堂弁当・折詰弁当の仕出し、慶弔・法事等
どうなるのかなあ、と思っていたけれど。『KYOTOGRAPHIE 2022 京都国際写真祭』の拠点となった『八竹庵(旧川崎家住宅)』で色々見ていたら、元『瓢樹』の町家さんが今回の関連企画『Machiya Vision』の会場として4月27日~5月8日に公開されると。…てことで先日足を運びました!
京都で友禅悉皆業を営んでいた屋号“伊勢屋”で生まれ育った今尾景年。四条派の画家として頭角を表すと竹内栖鳳、山元春挙らとともに近代の日本画を牽引する一人となり、自ら開いた“景年塾”では木島桜谷らを育てました。
その晩年に建てられたのがこの邸宅。直近で料亭だった――という印象が強いからか、玄関からちらっと庭園が見える小窓も、赤い毛氈の敷かれた渡り廊下を通って主座敷へと至る感じも“もてなし”に溢れていて風雅な感じがする。最晩年は茶の湯や盆栽などのカルチャーに没頭した景年の文化的な趣向がかなり表れている…のかなと。
庭園も今尾景年自身のセンスが反映された庭園。今回見られる範囲では3箇所。(1)渡り廊下から見られる坪庭、(2)渡り廊下を挟んで小さいながら池と枯流れのある道路側のお庭。
(3)そして主座敷から眺められる、京都・洛北の名石が配された石の感じと苔むした姿が美しい主庭園。ちなみに主庭園の向こう側に見える門が登録有形文化財の“中門”で、文化財の解説読む限りでは向こう側にも庭園があるっぽい。(今回はその先及び2階は非公開。2階には画室もあったとか)
主座敷では今回の企画展『Machiya Vision』の対談ムービーが流れているのですが、中の人、外の人、四者それぞれ違う目線で語られていたのがとても面白かった。若者に参画して欲しいけど、ハードルの高さが拭えない…という課題感。“京町家”という単語を“日本庭園”に置換えても同じこと言えそうだなーみたいなこととか。
今回の展示ではその御子孫の協力により今尾景年筆による掛軸や扇子が展示されています。これからKYOTOGRAPHIEをまわられるという方もぜひ訪れてみて。
(2022年4月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)
アクセス・住所 / Locations
京都市営地下鉄烏丸線 烏丸御池駅より徒歩7分
阪急京都線 烏丸駅より徒歩9分
最寄りバス停は「烏丸三条」バス停 徒歩5分
〒604-8217 京都府京都市中京区西六角町101 MAP