麓寿庵(旧今尾景年家)庭園

Rokujuan (Former Imao Keinen Residence) Garden, Kyoto

2023年より“華わらび”が人気のスイーツ店に!近代京都を代表する日本画家・今尾景年が大正時代に建築した京町家と庭園。国登録有形文化財。

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麓寿庵(旧今尾景年家住宅)庭園について

「麓寿庵」(ろくじゅあん)は京都市の中心部、地下鉄・烏丸御池駅/阪急・烏丸駅からも程近くの京町家に2023年にオープンしたスイーツ店。元は近代の京都を代表する日本画家の一人・今尾景年(いまおけいねん)が大正時代に建てた自邸で、『久保家住宅(旧今尾景年家住宅)』として主屋/土蔵/門及び塀/中門の4棟が国登録有形文化財。同時代に作庭された町家のお庭が残ります。

2021年までは『瓢樹』(ひょうき)という懐石料亭さんでした。京都・南禅寺門前で400年の歴史を持つ老舗『瓢亭』さんから大正時代に暖簾分けされたお店で、その門前を横切りながら「いつか入りたいなあ…」と思っていたのですが、残念ながら2021年末で閉店(なお、場所を変えて仕出し店として再スタートを切られています)。

>> 京都市東山区|仕出しの瓢樹|四季折々の松花堂弁当・折詰弁当の仕出し、慶弔・法事等

その翌年『KYOTOGRAPHIE 2022 京都国際写真祭』の関連企画『Machiya Vision』の会場として10日間ほど特別公開。その後どうなるのかなあと思っていましたが、2023年より新たに「麓寿庵」として活用が始まりました。
人気メニューはヘルシーな「鴨粥」とエディブルフラワーをあしらったカラフルな「華わらび」!

明治時代~大正時代に活躍した日本画家・今尾景年について。幕末の京都で友禅悉皆業を営んでいた屋号“伊勢屋”で生まれ育ち、最初は家業でもある友禅の下絵を描く所からキャリアをスタート。
やがて四条派の画家として頭角を表すと竹内栖鳳山元春挙らとともに近代の日本画を牽引する一人となり、自ら開いた“景年塾”では木島桜谷らを育てました。

氏の晩年に建てられたのがこの邸宅。直近で料亭や飲食店として活用されている――というイメージからの補強もあるけれど、玄関からちらっと庭園が見える小窓も、赤い毛氈の敷かれた渡り廊下を通って主座敷へと至る感じも、“もてなし”に溢れていて風雅な感じがする。最晩年は茶の湯や盆栽などのカルチャーに没頭した景年の文化的な趣向がかなり表れている(と思う)――。

大まかに分けて3箇所(玄関前庭を含めると4箇所)あるお庭も今尾景年の美術的センスが反映された庭園――と言えるのではないでしょうか。

(1)玄関〜主屋への渡り廊下から見られる坪庭
(2)その渡り廊下を挟んで、小さいながら池と枯流れのある道路側のお庭
(3)そして主座敷から眺められる主庭園(奥庭)。鞍馬石の沓脱石を始めとする、京都・洛北の名石が配された石の感じと苔むした姿、青もみじが美しい。

ちなみに主庭園の向こう側に見える門が登録有形文化財の“中門”で、麓寿庵と隣接する『どら焼きと和紅茶 乃咫nota』へと進むと、お庭の続き(と言ってもそんな広くはないですが)を見ることができます。

また室内には今尾景年筆による書画も展示されていて、そちらも若いスタッフの方に説明していただけます。京都の街中でオススメ店舗を探されている方も、瓢樹の時代に訪れた事がある方も、ぜひまた訪れてみて。

(2022年4月、2024年12月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

京都市営地下鉄烏丸線 烏丸御池駅より徒歩7分
阪急京都線 烏丸駅より徒歩9分
最寄りバス停は「烏丸三条」バス停 徒歩5分

〒604-8217 京都府京都市中京区西六角町101 MAP

投稿者プロフィール

イトウマサトシ
イトウマサトシ
Instagram約9万フォロワーの日本庭園メディア『おにわさん』中の人。これまで足を運んで紹介した庭園の数は2,000以上。執筆・お仕事のご依頼も受け付けています!ご連絡はSNSのDMよりお願いいたします。
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