甑岩文芸荘

Koshikiiwa Bungeiso Garden, Nishinomiya, Hyogo

阪神間モダニズムを代表するお屋敷街“西宮七園”の大正時代の邸宅が2025年より活用をスタート…西宮市指定都市景観形成建築物の近代和風建築と庭園。

庭園フォトギャラリーGarden Photo Gallery

甑岩文芸荘について

【通常非公開/特別公開あり】
「甑岩文芸荘」(こしきいわぶんげいそう)は兵庫県西宮市の高台部に位置する大正時代の近代和風建築。「東邸・西邸」「遊楓亭」とそれらの庭園により構成され、2025年に西宮市の都市景観形成建築物に指定。
通常非公開ですが、これまで不定期で特別公開も実施されています。2025年12月の特別公開(内覧会)の様子を紹介(2026年は4月3、4日に特別公開)。

近代~昭和に掛けて開発が進み、“阪神間モダニズム”を代表するお屋敷街にも挙げられる「西宮七園」。甑岩文芸荘はそんな七園の「苦楽園」~「甲陽園」の間の高台部に位置します。ちなみに「甑岩」(こしきいわ)というのはこの地域で古代から信仰されている磐座で、文芸荘のすぐ東側の『越木岩神社』に鎮座します(「越木岩神社社叢林」は兵庫県指定天然記念物)。先に紹介している『北山緑化植物園』からも徒歩10分強。

これまでも、ときおり地域の方向けに特別公開があったようですが、2025年の都市景観形成建築物への指定を機に《芸術文化活動や、文化交流の場として地域に開きたい》というオーナーの想いの下で新たに活用がスタート。2025年の特別公開(内覧会)でも若手アーティストによる作品展示が合わせて催されました。…そして結論を言うと、本当に素晴らしいお屋敷だった…!

冒頭の通り、「東邸・西邸」「遊楓亭」と主に3棟の建築と庭園によって構成される甑岩文芸荘(細かく言うと、門/塀/離れ/蔵が東邸・西邸にそれぞれ存在)。当初は海手側の千歳町に1920年(大正9年)に建設され、後に(1934年・昭和9年)現在地へと移築。当初の施主はまさに“阪神間モダニズム”の時代を生きた実業家で、灘の酒造家や元勲・山縣有朋とも繋がりのある人物(山縣閥。Wikipediaにもページのある方…)だったとか。今回の公開では若手アーティストの作品の他にも富岡鉄斎の書なども掲げられていました。

庭園について。特別公開で見られる庭園をざっくり言うと、下記の4つのエリアに分けられます。
(1) 東邸の前庭(2〜4枚目)
(2) 東邸の主庭園
(3) 東邸の主屋・離れの中庭(16〜19枚目)
(4) 遊楓亭の庭園(20〜25枚目)

共通した見所としては、やはりご当地の「御影石」の石積や石組。先述の『北山緑化植物園』もそうですが、この一帯も古くから花崗岩の銘石、御影石の産地でした。特に、(1)の門~前庭からとにかく石積が見所。
(2)東邸の主庭園は、芝生の中にサツキ、ツツジ、椿、モチの木といった樹木が配されたシンプルな庭園ながら、『堀江オルゴール博物館』と同じ様に高台からの眺めが◎。そして庭石…特に巨石の手水鉢がカッコいい!

東邸から一段、いや二段下がった低地部にあるのが『遊楓亭』。その庭園はその名の通り頭上を覆う多くのモミジが見所…(この12月の公開は惜しくもピーク過ぎだったけれど)。
そしてマニア目線で注目したいのは遊楓亭の庭園で…枯れ葉に埋もれつつあるけれど、池泉庭園や滝石組の遺構があります。更に言うと…東邸の手水鉢から斜面を通じてこの遊楓亭の池泉へと水が流れ込むような水路や滝石組がもうけられている。堀江邸の庭園と同様にめちゃくちゃスケールが大きい…!

倒れたままの石灯籠などの石造物は、どうやら1995年の阪神淡路大震災からそのままであろう、とのこと。その姿から連想されるその出来事も、このお庭にとっては大きな歴史の一つ…。ひょうごヘリテージの庭園メンバーの方にもぜひ一度拝見して欲しいなぁ。春もきっと素敵なので、お近くの方は公開イベントにぜひ訪れてみて。

(2025年12月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

阪急 夙川駅より路線バス「越木岩神社北」バス停下車 徒歩7分
阪急甲陽線 甲陽園駅より徒歩20分

〒662-0094 兵庫県西宮市毘沙門町6-24 MAP

投稿者プロフィール

イトウマサトシ
イトウマサトシ
Instagram約9万フォロワーの日本庭園メディア『おにわさん』中の人。これまで足を運んで紹介した庭園の数は2,000以上。執筆・お仕事のご依頼も受け付けています!ご連絡はSNSのDMよりお願いいたします。
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