北野天満宮“風月の庭”

Kitanotenmangu Shrine Fugetsu’s Garden, Kyoto

“学問の神様”菅原道真を祀る国宝神社の生まれ変わったお庭…七代目小川治兵衞作庭庭園→次期十二代目“御庭植治”小川勝章が令和時代にアップデート。(通常非公開)

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北野天満宮 風月殿庭園“風月の庭”について

【通常非公開】
「北野天満宮」(きたのてんまんぐう)は“学問の神様”菅原道真をまつるため平安時代の947年(天暦元年)に創建された神社で、『太宰府天満宮』とともに全国に12,000ある天神さまの総本社。豊臣秀吉の遺命により豊臣秀頼が造営した国宝の社殿(本殿・拝殿)をはじめ歴史的な建造物が立ち並び、京都の梅の名所としても有名で梅見の季節には一段と賑わいます。

2023年、一般の参拝客には非公開の社務所『風月殿』とその庭園がリニューアル。庭園は、近代京都を代表する庭師・七代目小川治兵衞(植治)が明治時代に作庭したと伝わるお庭を改め、植治次期十二代目・小川勝章さん率いる御庭植治により『風月の庭』が作庭されました。

楼門を入った先、宝物殿との並びにある社務所『風月殿』。江戸時代には天台宗の“法華三昧”を読み上げる為のお堂があったとされる場所で、明治時代初頭の神仏分離令の後、1873年(明治6年)に教育・布教・研究機関を兼ねた「小教院」として建立されました。その建築には藤原氏北家を起源とする公家・高倉家の屋敷の古材が用いられていたそう。

明治時代中期には皇典講究所となり、文庫には約10万冊もの書籍が収蔵。近代に学問・学術・研究の教育機関としても発展しました。その後は社務所として利用され、この度「風月殿」と名前を新たに。この名は優れた詩人/歌人でもあった菅原道真を称えた《文道之大祖、風月之本主也》の“風月(の)本主”に由来します。(北野天満宮楼門の扁額にも記されています)

建物の竣工から29年後の1902年(明治35年)、『千年大萬燈祭』に際し七代目小川治兵衞による庭園が作庭。天満宮に残る史料によると、その際小川治兵衞にオファーをしたのはかの大隈重信だったそう(大隈重信ゆかりのお庭…という意味でも貴重な記録!)。ただ、そのお庭も近年に至るまでは長らく取り残され埋もれたような状態となっていたとか…。

そしてこの度、現代・令和の歴史に刻まれるお庭として、“植治”を受け継ぐ小川勝章さん率いる御庭植治によって約120年ぶりにリニューアルされました。
風月殿をL字型に囲むこのお庭。まずは広間から正面に築山からの滝の流れが視界に飛び込んでくる。滝から落ちた流れは小川を通じてカーブし鯉の泳ぐ池泉と流れ込む、池泉鑑賞式・兼回遊式庭園。“主人公であるお庭を美しく眺める”ために、風月殿では『京都迎賓館』などでも利用されているクリアなガラスが採用されています。

風月殿から正面に眺めると、滝石組から目線が繋げる形で菅原道真/天神様に縁深い牛の像と、牛の姿に見立てた庭石が“牛をお守りするよう”に配されています。七代目が好んだ守山石など既存の庭石や京都の銘石・貴船石、鞍馬石も活かされながら、新しいこのお庭のために各地から集められた巨石が滝石組〜護岸に用いられている、石好きにはきっとたまらないお庭!

そしてこのお庭のもう一つの隠れた主役が、風月殿から右手に見える「宝物殿」。風月殿の55年後、1928年(昭和3年)の千二十五年半萬燈祭に際して建立され、それまで本殿に収められていた神宝を移動/広く公開し始めたことから、天満宮の中では「第二の本殿」とも言われているそう。
RC造としては長寿の築100年をまもなく迎えるモダン建築は和洋折衷な内部の意匠のみならず、なんと扉は車で有名になる前のロールス・ロイス社の防火に優れた扉が採用されています。

風月殿および風月の庭は一般の参拝客には非公開とのことですが、今後は日本文化体験などの場として活用されていくそう。気になる方は公式サイトから風月殿で行われるイベントをチェックしてみて。

(2024年5月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

嵐電(京福)北野線 北野白梅町駅より徒歩5分
JR嵯峨野線 円町駅より徒歩20分強
最寄りバス停は「北野天満宮前」バス停 徒歩2分

〒602-8386 京都府京都市上京区馬喰町 MAP

投稿者プロフィール

イトウマサトシ
イトウマサトシ
Instagram約9万フォロワーの日本庭園メディア『おにわさん』中の人。これまで足を運んで紹介した庭園の数は2,000以上。執筆・お仕事のご依頼も受け付けています!ご連絡はSNSのDMよりお願いいたします。
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