戦国武将・吉川家がかつて拠点とした北広島町で唯一の町指定重要文化財の古民家。江戸時代末期の旧豪農屋敷には農民一揆“武一騒動”の跡も。
上本家(旧石橋家)庭園について
【水曜日/土曜日のみ公開 *1、2月は水曜日のみ】
「上本家」(かんもとけ)は広島県北広島町にある文化財の古民家。「上本家住宅主屋」として北広島町指定重要文化財。
戦国大名・毛利元就の重臣としても有名な戦国武将・吉川元春に代表される“吉川氏”が鎌倉時代〜戦国時代にかけて拠点とした北広島町。
訪れた目的は吉川氏の造営した国指定文化財(国指定名勝)の庭園『吉川元春館跡庭園』、『旧万徳院庭園』だったけれど、唯一文化財となっている古民家/邸宅がこちら。
千代田ICから吉川氏館跡を結ぶ「石州街道」から西に入り、中国横断自動車道の高架をくぐったすぐ先に現れる茅葺屋根。
旧有間村庄屋・石橋久兵衛の邸宅だったこの古民家は江戸時代後期の建築と推定されています。庄屋だった立場から明治時代のはじめの農民大一期「武一騒動」では打ち壊しに遭う立場で、邸宅内の柱にはその際についた刃物(ナタや鎌)の跡も。
現在は主屋だけが残るものの、二方向が庭園に面した座敷には数寄屋風書院造りの意匠が残り旧豪農屋敷の格式や面影が感じられます。
そんな古いお屋敷も昭和後半には約20年ほど空き家となり放置状態に。保存される契機となったのが中国横断自動車道の工事。解体の話が持ち上がったものの、明治時代に民衆が立ち上がり地域を揺るがした「武一騒動」の貴重な遺構として保存されることに(合わせて文化財に)。
公開日も水曜日・土曜日のみ、前述の吉川氏館跡と比べても観光地としてのPRはほとんどされていないので果たして年間どれだけの人が来ているのかな…という感じではあるけれど、それでもこの日は地元の方たち数名の憩いの場になっていた。あと不思議と昔の家って猛暑日でも涼しい。
お屋敷の周囲を取り囲む庭園があります。堤のように盛り土された中に庭石・植栽の配された枯山水庭園。周囲の山々の借景も美しい!ぜひ吉川氏館跡のついでにも立ち寄ってみて。
(2022年7月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)
アクセス・住所 / Locations
中国自動車道 千代田ICより約4km *道の駅にレンタサイクルあり
中国自動車道 千代田ICより路線バス「八重有間」バス停下車 徒歩10分
〒731-0154 広島県山県郡北広島町有間104-1 MAP