徳川家康と側室・阿茶局により創建された、安産祈願の“世継地蔵”が信仰される“京のよつぎさん”。公家の屋敷から移築された通常非公開の客殿から眺める枯山水庭園も。
上徳寺庭園について
【庭園は通常非公開】
「塩竈山 上徳寺」(じょうとくじ)はJR京都駅の北東、四条河原町の繁華街までの道中、河原町五条の交差点の程近くにある浄土宗の寺院。江戸幕府初代将軍・徳川家康と家康の側室で二代将軍・徳川秀忠の育ての母・阿茶局(上徳院殿/雲光院)による創建で、安産祈願・子授け祈願に信仰された「世継地蔵」を安置する「京のよつぎさん」としても有名。
2023年の「京の冬の旅」で庭園が特別公開。(〜2023年3月19日まで)
お寺の歴史について。古くはこの場所には『源氏物語』の主人公・光源氏のモデルとも言われる貴族/左大臣・源融が営んだお屋敷“六条河原院”があったとされます。
上徳寺の南方にある国指定名勝の庭園『渉成園』も同じ言われがあり、その庭園は奥州・塩釜の風景を写したものだったと伝わる——と書きましたが、上徳寺の山号“塩竈山”もそこから来ているもの。
上徳寺としては「関ヶ原の戦い」後の1603年(慶長8年)、徳川家康と阿茶局の間に生まれ亡くなった泰誉院の菩提寺として創建。
そんな徳川家ゆかりの寺院として境内には阿茶局の墓所、泰誉院供養塔(宝筐院塔)、将軍・徳川秀忠の供養塔のほか、「京の冬の旅」では寺宝の徳川家康/徳川秀忠/阿茶局の肖像画が公開。また今回は公開されなかったものの、京都市指定文化財の御本尊は快慶の作と言われます。
家康と阿茶局が早死した我が子の為に創建した寺院という背景もあって、境内の地蔵堂には安産と子授けに良いと信仰された「世継地蔵」や「水子地蔵」が安置され、江戸時代から京都の地元や各地からの参詣者が訪れ信仰されています。明治天皇の母で孝明天皇の側室・中山慶子も上徳寺を安産祈願で訪れたとか。
創建当初の建造物は江戸時代に度重なった火災により残っておらず、現在の伽藍は明治時代以降に整えられたもの。そのうち本堂は京都の紅葉の名所『永観堂』から移築された江戸時代中期(1753年)の建築、京の冬の旅で特別公開された客殿は公家のお屋敷から移築されたもの。円山派の絵師(一説には伝円山応挙)のお軸や障壁画が素晴らしい!
そんな客殿から眺められる、通常非公開の枯山水庭園。この庭園に関する情報は「特にない」とご案内いただいたので、担当された方の目に留まったらぜひお知らせくださいませ…。現代の庭園には違いないけど、航空写真で見てると昭和中期にはこの場所に枯山水庭園があった様子がわかる(今の庭園がそれと同一かはわからない)。
色とりどりの庭石と白い枯流れの組み合わせが◎。その背後には東京・渋谷の店舗も有名な「FabCafe」の京都店(FabCafe Kyoto)がそびえます。
この客殿は通常非公開ですが、上徳寺は以前より外国人に英語で茶道体験をしていただく『Tea Ceremony Ju-An』の会場となっていて、その際にはこの客殿でこの庭園を眺めながら茶道体験をしていただいているとか。そのような体験の場を探している方はぜひ利用してみて!
(2023年2月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)
アクセス・住所 / Locations
京都市営地下鉄烏丸線 五条駅より徒歩6分
京阪本線 清水五条駅より徒歩6分
最寄りバス停は「河原町五条」バス停 下車2〜4分
〒600-8119 京都府京都市下京区本塩竈町556 MAP