深妙寺庭園

Jinmyo-ji Temple Garden (Hydrangea Temple), Ina, Nagano

日向伊東氏の祖・伊東祐時こと犬房丸の伝承も残る、長野県最大規模の“あじさい寺”の池泉回遊式庭園。

庭園フォトギャラリーGarden Photo Gallery

信州のあじさい寺・感應山深妙寺について

「深妙寺」(じんみょうじ)は長野県最大規模の“あじさい寺”として知られる寺院。2019年のアジサイの見頃に初めて訪れました!

深妙寺の創建は平安時代。源頼朝の家臣として活躍した工藤祐経の息子・犬房丸がこの地に流された後、帰依していた寺院とされます。工藤祐経で知られるのは頼朝の部下としての活躍よりも“曾我兄弟の仇討ち”⇒Wiki)かもしれません。それにより父親を失った幼少の犬房丸祐時は工藤氏がゆかりのあった伊那の地で保護され、その後29歳で早死――てのが深妙寺の看板での紹介。
ただ『吾妻鏡』などの日本の主要な史料を元にした歴史では、犬房丸祐時はのちに伊東祐時として鎌倉幕府に仕え68歳まで生きたと(なお、のちに日向国を治め飫肥藩主となった日向伊東家の祖がこの祐時になるそう)。
この大きな食い違いは深妙寺のサイトでも触れられています。まあ当サイトは歴史的考察が目的ではないので、史料も伝承もどちらも「訪れた場所に深みが出ればOK」ということで。

いずれにせよこの寺院が中世から信仰されていた寺院であることには変わりなく、伽藍の中では鬼子母神堂が江戸時代初期の元禄時代の建造物であり、庭園の外れにある閻魔様の石像はこの寺院の秘仏である室町時代の閻魔像をモチーフにしたものだそう。
また参道や書院前の庭園の足元には多くの石臼が埋め込まれているのですが、これも江戸時代からの信州南部の『使えなくなった石臼を寺社に奉納する』という風習によって収集されたものだそう。境内で使われている石臼の数、なんと2000個!ただこの池泉庭園に関する情報は一切無し…。

順路で言うとあじさい園⇒池泉鑑賞式庭園…という感じですが、その池泉式庭園から続く斜面は一面のあじさい園。その数は200種類、2500株!例年6月下旬〜7月中旬まで『あじさいまつり』も開催されています。
2019年のあじさいまつりは7月7日までだったけど今回訪れた7月中旬でもまだ見頃が続いていて、多くの方が訪れていました!今年は7月が涼しいから少し後ろにずれこんでいるのかな。

また様々な灯器を集めた灯火器の博物館『あかり館』やひときわ大きい“伊那観音”も楽しめます。その境内はアジサイの時期だけでなく池泉庭園のツツジ・サツキの花が咲く季節や紅葉の時期に訪れてもきれいかも。

(2019年7月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

JR飯田線 下島駅より徒歩15分
伊那市街地より路線バス「戸沢橋」バス停下車 徒歩約10分
東京・長野方面より高速バス「中央道春近」バス停下車 徒歩10分強(実は一番便利?)

〒399-4431 長野県伊那市西春近小出3160 MAP

投稿者プロフィール

イトウマサトシ
イトウマサトシ
Instagram約9万フォロワーの日本庭園メディア『おにわさん』中の人。これまで足を運んで紹介した庭園の数は1,900以上。執筆・お仕事のご依頼も受け付けています!ご連絡はSNSのDMよりお願いいたします。
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