伊勢神宮に奉納された美術品を鑑賞できる美術館は、建築家・大江宏設計の枯山水庭園にせり出す現代和風建築。
神宮美術館について
「神宮美術館」(じんぐうびじゅつかん)は伊勢神宮に20年に一度行われる“式年遷宮”の際に奉納されるその時代を代表するアーティストの美術・工芸作品を所蔵、展示している美術館。1993年(平成5年)の式年遷宮の際に設立。正式名称は「式年遷宮記念神宮美術館」。
その建物の設計は大江宏。近代~現代に活躍した建築家の一人で、当サイトでは山縣有朋作庭の庭園が現存する、農林水産省の『三番町共用会議所』に氏の手掛けられたモダニズム建築?があります。
大江宏の代表作といえば東京・千駄ヶ谷の『国立能楽堂』。この神宮美術館も現代和風建築といった様相で、唐破風屋根っぽい玄関や木目の内部(残念ながら建物内は撮影禁止)、建物を囲む回遊式の日本庭園が周囲の森の景観ともマッチしています。
…ですが大江宏はこの建築が完成する前に亡くなられている。なのでこの美術館は遺作と言えそう。
庭園は白石で大海を表した枯山水庭園なのだけれど、建築がその大海に対してせり出すような姿になっている。名古屋の『八勝館 御幸の間』へ行った翌日にこの美術館を訪れたのですが、大江宏は堀口捨己と仕事上での交友もあり、目指している方向はきっと近かったんだろうなぁと。日本庭園の景観があってこその和風建築。
…真夏ってこともあって、多くの花木が植わっている裏庭は落葉がすごくて写真ほとんど撮ってないけれど…春にも訪れてみたいな~。
作庭者は現段階では不明なのですが、大江宏は『平櫛田中彫刻美術館』で岩城亘太郎(岩城造園)と仕事をされている。そして岩城造園は伊勢神宮の露地庭を手掛けられている。「岩城さんかなあ…」と憶測で思ってるのですがどうなんだろう。
また同じ敷地内にある『神宮徴古館』と『神宮農業館』は明治時代末期に片山東熊によって手掛けられたもので国登録有形文化財。ジョサイア・コンドルに学び、国宝『赤坂迎賓館』に『東京国立博物館』の表慶館、国重文『仁風閣』を手掛けられた片山東熊が残した貴重な建築もあわせてぜひ。
(2020年8月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)
アクセス・住所 / Locations
近鉄鳥羽線 五十鈴川駅より徒歩15分強
JR参宮線 伊勢市駅より徒歩25分
宇治山田駅・伊勢市駅・五十鈴川駅より路線バス「神宮徴古館」バス停下車 徒歩2分
〒516-0016 三重県伊勢市神田久志本町1754-1 MAP