
ブリヂストン創業者・石橋正二郎が故郷に寄贈した文化芸術施設の日本庭園は氏が構想した《楽山愛水》のお庭。菊竹清訓が設計の“久留米市美術館”も。
石橋文化センター日本庭園について
「石橋文化センター」(いしばしぶんかせんたー)は福岡県久留米市にある複合文化施設。世界的タイヤメーカー「ブリヂストン/BRIDGESTONE」創業者・石橋正二郎により建設〜久留米市に寄贈されたもので、広大な敷地内には『久留米市美術館』(旧・石橋美術館)を中心に『久留米市立中央図書館』『石橋正二郎記念館』『石橋文化ホール』『石橋文化会館』等が点在するほか、石橋正二郎により構想された日本庭園や洋風庭園があります。美術館の設計は昭和を代表する建築家のひとり・菊竹清訓。
2025年に久々に訪れたので改めて紹介。
西鉄久留米駅より東へ徒歩15分程、約5万平方メートルの広大な敷地内に先述のさまざまな施設が集積している「石橋文化センター」。
その歴史について。1956年(昭和31年)にブリヂストン創業者・石橋正二郎(久留米市名誉市民)によって《世の人々の楽しみと幸福の為に》の理念の元に建設。昭和初期の1931年の創業から戦前〜戦後のタイヤ需要拡大で急成長、1950年代には日本国内で業界首位となったブリヂストン。このセンター開園はブリヂストン創業25周年を記念したものでもありました(創業からわずか25年でこれ程大規模な文化施設を実現…という所も急成長ぶりを物語っています)。
その中核施設の『久留米市美術館』も当初は石橋正二郎の私設美術館『石橋美術館』という名でした。その建築は昭和の「メタボリズム」の代表的な建築家・菊竹清訓。氏は久留米で他に『徳雲寺本堂』も手掛けられています(※氏の貴重な寺院建築)。
そんな久留米市美術館の前には日本庭園が広がります。こちらも、石橋正二郎が自らの構想の元で作庭されたもので、石橋文化センター開園から15年程経過した後の1971年〜1972年(昭和46年〜昭和47年)にかけて竣工。
実は造園を趣味としてきたという氏が提唱した《楽山愛水》をテーマとした、大きな二つの池を繋ぎ奥に森のような築山を設けた池泉回遊式庭園。池泉「楽水の池」の目線の先には約3メートルもの大滝「一丈の滝」が、造園から55年経つ現在でも迫力ある姿を見せています。またこの庭園では地元・耳納連山の自然石が約200トン用いられている…というのも「地域性」が感じられるポイント。
…公の情報からは、あくまで石橋正二郎が自らの理想を表現したお庭…という事になるんだけれど――久留米には、昭和を代表する庭園研究者・森蘊が関わった庭園が幾つか残る。この庭園は氏の作庭記録にはないのですが…洲浜や2つの大池に大滝など、構成や雰囲気が『京都仙洞御所』に似ていて、「伝統的な庭園様式」を好んだ氏が関わったりしていないのかなぁ、と久々に訪れて感じた…。
日本庭園メインで紹介しましたが、美術館のアプローチには洋風庭園があり、春・秋の薔薇の季節には色とりどりのバラが見頃を迎えます。また日本庭園の一角には、庭園をのぞむカフェ&ギャラリーショップ「楽水亭」や画家・坂本繁二郎のアトリエを移築したレトロ建築『坂本繁二郎旧アトリエ』も。地元の方に親しまれている文化センター、ぜひ旅行・遠征の方も訪れてみて。
(2016年4月、2025年4月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)
アクセス・住所 / Locations
西鉄天神大牟田線 西鉄久留米駅から徒歩15分
JR九州新幹線・鹿児島本線 久留米駅より路線バス「文化センター前」バス停下車 徒歩3分
※久留米市内にシェアサイクルあり
〒839-0862 福岡県久留米市野中町1015 MAP
投稿者プロフィール

- Instagram約9万フォロワーの日本庭園メディア『おにわさん』中の人。これまで足を運んで紹介した庭園の数は2,000以上。執筆・お仕事のご依頼も受け付けています!ご連絡はSNSのDMよりお願いいたします。
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