広島の銘菓“もみじまんじゅう”の老舗・藤い屋の新拠点に現代建築家・中村拓志&NAP建築設計事務所がデザインを手掛けたランドスケープ。
IROHA villageについて
「IROHA village」(いろはビレッジ)は広島を代表するお土産『もみじまんじゅう』の生産メーカー「藤い屋」の2018年に完成した新工場およびカフェ・レストラン・ショップからなる複合施設。緑が取り囲むランドスケープや建築のデザインは中村拓志&NAP建築設計事務所により手掛けられています。
ウェブサイトや雑誌で見て「素敵だなあ」と思っていたNAP・中村拓志さんの“ランドスケープ”色が強めの建築。2022年7月に初めて訪れました。
日本三景“安芸の宮島”の紅葉の名所『紅葉谷』にちなんで生まれた「もみじ饅頭」…まず今更ながらちゃんと把握したのが、もみじ饅頭は他の有名なお土産菓子と違って「複数のメーカー(お店)で生産されている」ということ。その中で藤い屋は1925年(大正14年)に宮島で創業し、まもなく創業100年を迎えられる老舗。
2018年に五日市の海沿いの埋立地に開設された新工場。五日市駅の方面から向かうと、バイパス越しに殺伐とした…無機質な空間が現れるのだけど、その中に置いて小さな森・オアシスのような雰囲気を醸すのが「IROHA village」。
ここで紹介する主役は畑が取り囲み、草生える屋根を持つショップ・カフェ棟とそのランドスケープ。無機質な空間に命を吹き込むよう誕生した「畑LABO」は工場と同程度の面積を持ち、土づくりからこだわった畑でもみじまんじゅうの原材料になる小豆や小麦・果樹を育て、素材研究の場となっています。その一角にはお社も。
そしてショップ・カフェ棟の屋上にはハーブガーデンが(登り忘れた…)。こちらにはローズマリーやラベンダーが育てられているそう。
建築内にはもみじまんじゅうや藤い屋の別業態『古今果』のケーキの販売や、ベーカリー、カフェ・レストランのスペースも。自分は今回ベーカリーで持ち帰り利用のみにしてしまったけれど…、自然の素材に囲まれた中でお食事や喫茶が楽しめます。軒下には天日干しされた農作物の姿も…。
また新工場に売店窓口があり、焼きたてのもみじまんじゅうや、宮島口の本店とここでしか食べられないジェラートも味わえます。IROHA villageではただの工場見学ではなく畑LABOも含めたガイド付きの見学ツアーがあり、そちらにも特典として焼きたてのもみじまんじゅうの試食が。広島の新たなランドスケープ、ぜひ立ち寄ってみて。
(2022年7月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)