池上百竹亭

Ikegami Hyakuchikutei Garden, Matsumoto, Nagano

国宝『松本城』からすぐ近く。柳宗悦をはじめ多くの文化人/文人と親交のあった実業家・池上喜作の旧邸/茶室。俳人・荻原井泉水による石造物も残る無料公開庭園。

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池上百竹亭について

「池上百竹亭」(いけがみひゃくちくてい)は国宝『松本城』の内堀のすぐ北側に位置する茶室・庭園。柳宗悦ら「民藝運動」のメンバーをはじめ多くの文化人と親交のあった実業家・池上喜作(号・百竹亭)が昭和時代中期に造営した旧邸で、1995年(平成7年)に松本市の社会教育施設として開館〜活用されています。(※庭園は無料公開)

松本城天守閣から徒歩5分ほど、北門を出て目の前。かつて江戸時代には松本城の城内馬場があった場所にある和風建築「池上百竹亭」。

このお屋敷の施主・池上喜作について。松本の呉服商の家に生まれ、家業を継いだのちに「長野県繊維製品株式会社」を創業、その後継企業「丸松繊維株式会社」は“甲信越最大の繊維卸”とも言われました。(※現在は更に別の企業へ継承)

そんな池上喜作は東京での修行時に正岡子規に傾倒。子規に師事した俳人・矢ケ崎奇峰アララギ派の歌人・胡桃沢勘内など信州で活動した文人をはじめ、荻原井泉水、柳田國男とも親交を持ち、日本民藝協会長野県支部の支部長として大原總一郎(大原美術館)、バーナード・リーチ濱田庄司らを松本に招くなど松本の文化芸術振興に貢献。

そんな池上の自邸として1958年(昭和33年)に建てられたのが池上百竹亭。茶室は京都から数寄屋大工を呼び作られ、庭園も設計士を京都に送り学ばせ“裏千家風”に作庭されたもの。おそらく往時は苔むしていたのだろう…と想像される露地は、その名の通り笹と竹(とモミジ)を中心に緑が創出されています。庭園内には文人の中でも特に親しかった萩原井泉水による石碑/石塔も。

なお池上喜作が蒐集した美術品/近代文芸資料は松本市に寄贈され、松本市美術館にて『池上百竹亭コレクション』として所蔵/公開。中でも明治天皇が松本巡幸の際に『中田家』で天覧された手鑑『兎玉集』は国の重要美術品にも指定されています。美術館の方も合わせてチェックしてみて。

(2023年8月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

JR篠ノ井線・大糸線 松本駅より徒歩20分弱
松本駅より松本周遊バス(タウンスニーカー)「池上百竹亭」バス停下車すぐ(その他、近くのバス停への路線バスも多数あり)

〒390-0873 長野県松本市丸の内10-31 MAP

投稿者プロフィール

イトウマサトシ
イトウマサトシ
Instagram約9万フォロワーの日本庭園メディア『おにわさん』中の人。これまで足を運んで紹介した庭園の数は2,000以上。執筆・お仕事のご依頼も受け付けています!ご連絡はSNSのDMよりお願いいたします。
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