益子参考館(旧濱田庄司邸)

Mashiko Sankokan Garden, Mashiko, Tochigi

柳宗悦/河井寛次郎らと共に“民藝運動”を主導した陶芸家で人間国宝・濱田庄司が自邸に開いたミュージアム。氏がデザインし改修した建築や自然にあふれたお庭も。

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濱田庄司記念益子参考館について

「濱田庄司記念益子参考館」(はまだしょうじきねんましこさんこうかん)は“民藝運動”の主導者の一人で人間国宝の陶芸家・濱田庄司の自邸の一部を活用し開かれた博物館。濱田庄司自身がコレクションした美術工芸品の数々が展示。また敷地内の「益子参考館上台」(旧・濱田庄司邸離れ)が栃木県指定有形文化財および日本遺産「かさましこ~兄弟産地が紡ぐ“焼き物語”~」の構成文化財。

大正時代の終わりに柳宗悦河井寛次郎富本憲吉とともに“民藝運動”を発表/創設。昭和の戦後に第一回の重要無形文化財保持者(=人間国宝)に選ばれ、柳宗悦の跡を継いで日本民藝館の二代目館長や大阪日本民藝館初代館長もつとめるなど、日本の近現代を代表する陶芸家・濱田庄司。

東京/神奈川で育ち、京都や沖縄、イギリスで学び活動をはじめた濱田庄司が30代半ば、1930年(昭和5年)から本格的に制作拠点としたのが益子町の山裾のこの地。近隣から古民家や複数の長屋門や蔵などを移築してお屋敷兼アトリエを形作ってゆきました。

そんな濱田庄司が最晩年に自邸の一部を活用して1977年(昭和52年)に開館したのが「益子参考館」。
自身の作陶の“参考として”国内および世界で蒐集した美術工芸品…陶磁器などのうつわ、木工、金工、家具、染織、絵画などなどの品々を市民と共有し、同じように“参考として欲しい”という想いで開かれ、中には濱田庄司自身の作品や河井寛次郎、棟方志功バーナード・リーチら交流のあったアーティストの作品も。

鑑賞価値があるのは美術工芸品だけでなく建築も!受付も兼ねている長屋門にある1号館(ギャラリー1)からはじまり、“日本遺産”大谷石がふんだんに使われた石蔵の2号館・3号館、2つ目の長屋門(濱田庄司館)、かつての離れを活用した4号館、そして益子町指定有形文化財の工房「細工場」、「登り窯」が点在しています。いずれも江戸時代〜近代に建築されたものを移築したもの。

中でも茅葺屋根の民家を活用した離れ(益子参考館上台)は濱田庄司自身がデザインし改造を手掛けていることも栃木県指定有形文化財の指定理由に挙げられています。訪れた際には企画展『濱田庄司と家具』が開催中で、室内や縁側にはこれまた濱田庄司自身がデザインを手がけた家具が所狭しと展示されていました。古民家との組合せが絵になる!

またその主屋へと向かう道にはモミジとドウダンツツジが園路を形作っていて、紅葉のピーク時には美しい真っ赤の姿を見せてくれます。いわゆる“日本庭園”と言ったタイプのお庭ではないけれど、昭和中期以降の東京で“雑木の庭”に近しい、益子の豊かな自然を活かしたランドスケープ。

また約1kmほど離れた場所にある『益子陶芸美術館/陶芸メッセ・益子』には敷地内に『旧濱田庄司邸』(旧濱田庄司邸母屋)が移築されており、濱田庄司が暮らした息吹を感じることができます(18〜20枚目。そちらも町指定文化財/日本遺産)。美術館では濱田庄司の作品も常設展示されているので、合わせて立ち寄ってみて。

(2023年11月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

真岡鐵道 益子駅より約2km(徒歩25分)
益子駅より路線バス「益子参考館入口」バス停下車 徒歩4分

〒321-4217 栃木県芳賀郡益子町益子3388 MAP

投稿者プロフィール

イトウマサトシ
イトウマサトシ
Instagram約9万フォロワーの日本庭園メディア『おにわさん』中の人。これまで足を運んで紹介した庭園の数は2,000以上。執筆・お仕事のご依頼も受け付けています!ご連絡はSNSのDMよりお願いいたします。
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