北国街道 安藤家「古翠園」

Ando-ke House's Garden "Kosui-en", Nagahama, Shiga

北大路魯山人が滞在制作した芸術作品満載の“小蘭亭”と、近代の長浜を代表した庭師・布施宇吉の手掛けた庭園のある商家建築。【通常非公開】

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北国街道 安藤家庭園「古翠園」について

「北国街道 安藤家」(ほっこくかいどうあんどうけ)は滋賀県長浜市の中心部、黒壁スクエアのある通り(北国街道)の古い町並みにある大型商家建築/近代和風建築。その庭園は近代京都の名庭師・七代目小川治兵衛とともに国指定文化財庭園『慶雲館庭園』の築庭にも携わった庭師・布施宇吉の作庭。また庭園の一角に建つ離れ『小蘭亭』のデザイン(装飾/篆刻)は北大路魯山人の作で、氏の篆刻家としての代表作の一つに挙げられます。

2026年現在は通常非公開ですが、春・秋に特別公開の企画も。日程や情報は関連リンクの公式SNSよりご確認ください。2026年に久々に見学させていただいたので改めて紹介。

その歴史について。この安藤家、福島市で2020年まで営業していた百貨店『中合』の創業者…と言うと東北の方はピンと来るかも。そのルーツは羽柴秀吉豊臣秀吉)が城主をつとめた時代からの滋賀・長浜にありました。

室町時代に長浜に移り住んだ安藤家は、秀吉がおさめた時代に“十人衆”(自治会長的なポジション)に選ばれ、その後江戸時代も長浜の町で重要な役職を歴任していたという旧家・豪商。
JR長浜駅を出てすぐにある街のシンボル的建築のひとつ『長浜旧開知学校』の程近くに、明治38年〜大正4年に建てられたという建築が残ります。

邸宅の奥にある離れ『小蘭亭』の内装(となっている美術作品)・しつらえは大正2年から長浜に滞在・制作に取り組んでいた30代前半の北大路魯山人により手掛けられたもの(当時は「福田大観」と名乗られていました)。ここでは内部の写真は掲載しませんが…めちゃくちゃかっこいい!外観だけでも懸造、特徴的な丸い手すり、渡廊下の手すり等の意匠がオシャレで。近代和風建築のエッセンス満載でかっこいいしアートの一部だと感じる。
『小蘭亭』の名は中国で書を学び、中国の書聖・王義之の《蘭亭曲水の序》から取られた――という説が主流のようですが、長浜の中心寺院『大通寺』の旧国宝“蘭亭”にインスパイアされたものもあるのかな、と。その他、座敷に飾られている「呉服」と書かれた篆刻看板も魯山人の作品。

座敷や小蘭亭の前に広がる庭園「古翠園」は魯山人が滞在していたのと同時期、1914年(大正3年)の作庭。手掛けたのは、近代の長浜で多くの庭園を作庭したという庭師“植宇”布施宇吉による作庭。
水を使わずに水の景を表す枯山水庭園で、主座敷から眺める庭園は一つ一つの庭石や石造物(特に目の前の井筒)が大きく、迫力が感じられます。庭園の規模は違えど、大ぶりの石が好まれているのは冒頭の『慶雲館』にも似ている(し、それがこの庭師の技術とも捉えられます)。

さらに植栽の要素もぎゅっと詰まっていて、サツキ・ツツジなどの各種刈込み、そしてモミジと晩秋には雪吊りの組合せがちょうど美しい庭園!お手入れも良くされていて、施設としても庭園が実は力を入れているポイントの一つだとか。長浜の街中にはこの布施宇吉が手掛けた庭園がまだ20そこら残っているらしく…今後調べて少しずつ見に行きたい。2026年にはドラマにもなった北大路魯山人、改めて注目したい人は公開の際にぜひ訪れてみて。

(2018年11月、2020年11月、2026年春訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

JR北陸本線 長浜駅より徒歩5分

〒526-0059 滋賀県長浜市元浜町8-24 MAP

投稿者プロフィール

イトウマサトシ
イトウマサトシ
Instagram約9万フォロワーの日本庭園メディア『おにわさん』中の人。これまで足を運んで紹介した庭園の数は2,000以上。執筆・お仕事のご依頼も受け付けています!ご連絡はSNSのDMよりお願いいたします。
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