香福寺庭園

Kofukuji Temple Garden, Sagamihara, Kanagawa

室町時代から“橋本”の名を冠し、相模原市で最も古い江戸時代の建築を有する禅寺…白洲正子に見出された“庭師福住”福住豊により作庭された日本庭園が美しい!

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香福寺庭園について

「橋本山 香福寺」(こうふくじ)は政令指定都市・神奈川県相模原市で最も古い建築とされる江戸時代の山門・鐘楼を有する臨済宗建長寺派の寺院。境内にある日本庭園は町田市の『旧白洲邸 武相荘』や名古屋の国指定重要文化財の名料亭『八勝館』の庭園作庭にも携わった現代の庭師・福住豊さんによる作庭。

随筆家・白洲正子さんに見出され旧白洲邸の出入庭師となり、現在は山梨県を拠点とする“庭師福住”福住豊さん。その作庭庭園を調べる過程にてこちらのお寺さんを知り、2023年初めて訪れました。

神奈川県相模原市の中心駅・橋本駅から徒歩10分程、まさにこの地域の歴史を体現した“橋本山”の山号を有する香福寺さんの歴史は古く、室町時代の応永年間(1394年〜1428年)に鎌倉『建長寺』『浄智寺』などの住持もつとめた蔵海性珍が開山となり創建。

その後、江戸時代に中興され、現在残る山門(四脚門)や池のお庭のほとりにある鐘楼は江戸時代後期(1800年代)に造営されたものだそう。こちらの2棟は文化財にはなっていませんが、樹齢400年と言われるコウヤマキが相模原市保存樹木、また別の場所にある徳本念仏塔が相模原市登録有形民俗文化財。また御本尊の地蔵菩薩像は33年に1度開帳されます。

そんな境内の中央部、本堂の前に池泉回遊式庭園が広がります。池そのものは建立された室町時代からあるそう(!)ですが、現在の姿に整えられたのは現代となって以降。

作庭を手掛けられた庭師・福住豊さんは“雑木の庭”を提唱した昭和の東京の代表的な作庭家・飯田十基の下で学び独立した方。山門からの参道の景観〜池のほとりまではモミジを中心としながら、自然の林のような“雑木の庭”の雰囲気を持たせつつ、カラフルな銘石を見るのも楽しい護岸石に囲まれた池、水面ギリギリの沢飛び石、土橋などなど匠の技が素晴らしい日本庭園となっています!池の上流の流れの躍動感も◎。

比較的新しい街という印象のある橋本に、こんな素晴らしい庭園があるなんて…!日本庭園としての佇まいも素晴らしいけれど、こちらの境内の池を泳ぐ鯉のエサやりに訪れている地域のご家族、子供さんも多かったのも印象的。50年後、100年後にはきっと地域の文化財として広く愛される庭園となっているはず…そうなっていて欲しい!

(2023年8月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

JR相模原線・京王線 橋本駅より徒歩10分
橋本駅より路線バス「香福寺前」バス停下車すぐ

〒252-0143 神奈川県相模原市緑区橋本5丁目39-17 MAP

投稿者プロフィール

イトウマサトシ
イトウマサトシ
Instagram約9万フォロワーの日本庭園メディア『おにわさん』中の人。これまで足を運んで紹介した庭園の数は1,900以上。執筆・お仕事のご依頼も受け付けています!ご連絡はSNSのDMよりお願いいたします。
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