町田薬師池公園(福王寺旧園地)

Yakushiike Park, Machida, Tokyo

町田市民憩いの都市公園は戦国武将・北条氏照が治めた安土桃山時代に築かれた池泉がルーツ。東京都指定名勝。国指定重要文化財の古民家“旧永井家住宅”も。

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町田薬師池公園(福王寺旧園地)について

「町田薬師池公園」(まちだやくしいけこうえん)は東京・町田市野津田町にある町田市立の都市公園。名前の由来の“薬師池”は江戸時代以前からの歴史ある人工池で、「福王寺旧園地(薬師池公園)」として東京都指定文化財(東京都指定名勝)。また公園内には『旧永井家住宅』などもあり、「」にも選定されています。

日本庭園ファンにとっては比較的知名度のある『清澄庭園』と同じ文化財価値のある「東京都指定名勝」だけど訪れることができていなかった薬師池公園。2023年夏に初めて訪れました。広大な園内では四季の花々が咲くため“四季彩の杜”の愛称がつけられており、夏には園内北部の蓮池で大賀ハスの花が咲く姿が見られました。

その歴史について。薬師池のルーツとなる水田用水池(溜池)が築かれたのは安土桃山時代で、1577年(天正5年)に当地を領地とした戦国大名・北条氏照の許可を得た武藤半六郎ら地元の農民によって湧水を堰き止める形で約10年の歳月をかけ開拓。なおこの年は北条氏が武蔵国の一部で検地を実施した年でもある。

当初は「福王寺池」と呼ばれ、現在も公園の高台部には『福王寺薬師堂』が建ちます。福王寺の歴史は更に古く、飛鳥時代に行基による創建。薬師池が築かれ始める直前の1576年にこの地に再建され、現在見られるお堂も1883年(明治16年)の再建と歴史ある建築。平安時代後期作の「薬師如来坐像」が町田市指定有形文化財。

薬師池の話に戻ります。江戸時代には1707年(宝永4年)富士山の「宝永の大噴火」等の天災で土砂で埋まる被害を受けながら、そのたび地元の人々によって再生。その過程で「薬師池の大蛇」などの民話も生まれました。

やがて近代〜現代と時代が変遷し水田用水地としての役割はひと段落しますが、クヌギやコナラによる林など武蔵野の自然を残していた薬師池周辺が風地地区に指定。1974年(昭和49年)に都市公園として開園しました。
現在では約7,700平方メートルの薬師池を中心に、南北に細長くその倍程度の合計面積をほこり、約250本の梅の木による梅園、椿、桜、花菖蒲、紫陽花、ハス、約2万株の彼岸花、そして紅葉…と四季の花々を楽しむことができます。(ダリア園、ぼたん園、えびね苑も)

この薬師池公園の見所は四季の花々だけではありません。国指定重要文化財『旧永井家住宅』、東京都指定有形文化財『旧荻野家住宅』という2棟の江戸時代の東京の古民家も公園の開園当時にこの地に移築され、公園開園時間中は自由に見学することができます(実はこの公園は町田の文化財の集積地)。
このうち荻野家は江戸時代には笠間藩医を務めていたという家系だったそう。荻野家の前にある薬医門は2棟と比べると新しく1937年(昭和12年)の建築。

そのほか、休憩を取れる池のほとりの「やくし茶屋」や水車小屋、当時の原風景の面影を残す棚田なども見所。2020年にはやや南側に「四季彩の杜西園」が開園し、こちらでは現代的なランドスケープとともに、カフェ・レストラン/BBQスペース/ライブラリー/ラボ・体験工房など従来とはまた異なる新たな楽しみ方も。
野津田公園へ行く途中にもぜひバスを途中下車して立ち寄ってみて。

(2023年8月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

JR横浜線・小田急 町田駅より路線バス「薬師池」「薬師ヶ丘」バス停より徒歩5分

〒195-0063 東京都町田市野津田町3270 MAP

投稿者プロフィール

イトウマサトシ
イトウマサトシ
Instagram約9万フォロワーの日本庭園メディア『おにわさん』中の人。これまで足を運んで紹介した庭園の数は1,900以上。執筆・お仕事のご依頼も受け付けています!ご連絡はSNSのDMよりお願いいたします。
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