京都を代表する観光名所の雪景色。近代京都を代表する庭師・七代目小川治兵衛(植治)作庭の日本庭園は国指定文化財(国指定名勝)。
雪の平安神宮について
「平安神宮」(へいあんじんぐう)は京都を代表する観光名所の一つ。その社殿を取り囲む広大な日本庭園『平安神宮神苑』は近代の京都を代表する庭師・七代目小川治兵衛(植治)の作庭で、国指定文化財(国指定名勝)となっています。
これまで何度も訪れていますが、2023年1月には雪の日に初めて訪れたのでその写真を紹介。雪の日の京都は『金閣寺』が注目されがちだけれど、平安神宮の広大な池泉回遊式庭園もまた美しかった…!
「平安神宮」という名前とそのたたずまいから『平安京』との関係を連想してしまいますが、創建は明治時代の1895年(明治28年)。平安京遷都1100年を記念した「平安遷都1100年祭」と京都で開催された「内国勧業博覧会」の目玉として、平安京の大極殿院を5/8スケールで再現したもの。
毎年10月22日、平安神宮をゴール地点とする京都三大祭りの一つ『時代祭』がはじまったのもこの頃から。神社としては平安京遷都当時の天皇・桓武天皇と幕末の孝明天皇が祀られています。
「再現」と言っても現代ではすでに建築から100年以上経過しているものばかりで、入口の應天門/大極殿/東西歩廊(回廊)などが国指定重要文化財、『京都市京セラ美術館』前にある大鳥居などそれ以外の建造物も国登録有形文化財。当日の建築の設計は近代を代表する建築家のひとり・伊東忠太や木子清敬、佐々木岩次郎らが共同で手掛け、昭和年代の建築は工学博士・大森健二が設計を担当。
その社殿の背後には約33,000平方メートル(約1万坪)という広大な池泉回遊式庭園(神苑)があります。七代目小川治兵衛(植治)によって創建の1895年以降に段階的に作庭された庭園、順路に沿って南神苑→西神苑→中神苑→東神苑と紹介。
■南神苑
まずは枝垂れ桜の名所の“南神苑”。“平安の苑”という別称の通り、当時の庭園のスタイル“曲水の流れ”と平安時代の書物(源氏物語/枕草子/古今和歌集/竹取物語など)に記された植物による空間。またその一角には近年国の重要文化財となった京都市電(チンチン電車)が展示されています。
■西神苑
その次に現れる“西神苑”は中神苑とともに園内では最も古いエリア。その中心の“百虎池”は初夏にはハナショウブが咲きほこる、京都の花菖蒲の名所。
■中神苑
樹木に覆われた園路を抜けると“中神苑”。西神苑とともに園内では最も古いエリア。その中心の“蒼龍池”は5月初旬にはカキツバタの紫の花が咲きほこる杜若の名所。
またもう一つの目玉は丸い沢飛び石が連続する“臥龍橋”。七代目小川治兵衛が龍の姿を表現したこの橋は、桃山時代に豊臣秀吉が造営した三条大橋と五条大橋の橋脚で用いられた古石材が再利用されているとか。補助する手すりなどはないので渡る時は慎重に!
■東神苑
そして最も広い池泉“栖鳳池”を中心とした“東神苑”は明治末期〜大正時代にかけて追加で築庭されたもの。池には鶴島・亀島が浮かび、中心には『京都御所』から移築された“泰平閣”が架けられ、その先に東山の借景をのぞむ――この時代の小川治兵衛の風景の活かし方を感じられる、神苑の締めを飾るに相応しい庭園!
泰平閣の更に先(南側)にある『平安神宮会館』はブライダル向けに別のかっこいいウェブサイトがありまして。ブライダルやレストラン利用の方はまた別視点からこの眺めを楽しむことができます。
最後に余談で。本来の『平安京』の中心は平安神宮からは4kmほど西に通る「千本通」のあたり。千本通はかつての「朱雀大路」の一部で、その周囲には平安京に関連する遺構(空き地や石碑)も。そして『神泉苑』がその当時の庭園遺構と言われるので、平安京・平安時代が気になる方はそちらも合わせて訪れてみて。
(2023年1月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)
アクセス・住所 / Locations
京都市営地下鉄東西線 東山駅より徒歩10分
最寄バス停は「岡崎公園」(ロームシアター京都・みやこめっせ前/美術館・平安神宮前/動物園前)バス停下車 徒歩4〜5分
〒606-8341 京都府京都市左京区岡崎西天王町97 MAP