白河院庭園

Ryokan Shirakawain Garden, Kyoto

平安時代に白河天皇や藤原氏が別荘を構えた地に建つ和風旅館。武田五一の数寄屋風建築を写す日本庭園は七代目小川治兵衛(植治)作庭の京都市文化財庭園。

庭園フォトギャラリーGarden Photo Gallery

白河院庭園/法勝寺跡について

「白河院」(しらかわいん)は京都を代表する観光スポット『平安神宮』『京都市京セラ美術館』の程近くにある大正時代築の和風旅館。その和風建築(旧館)は近代の関西を代表する建築家・武田五一の設計、庭園は近代京都を代表する庭師・七代目小川治兵衛)の作庭で、京都市指定文化財(京都市指定名勝)。

何度か訪れていますが、2023年1月の雪の日の写真を追加・紹介。庭園のみであればフロントにお声掛けすれば散策可能(2023年1月時点)。また宿泊以外にも予約制でお食事(ランチ・昼食)や婚礼の記念撮影、茶室『無心庵』でのお茶会のみの施設利用も可能です。

平安時代の天皇・白河天皇(白河上皇/白河法皇)の号をその名とする「白河院」。現在残るお屋敷は皇族/皇室にゆかりは無いものの、歴史をさかのぼるとこの場所は白河天皇の別荘“白河別業”があった地なのだそう。

公家・藤原氏の別荘として太政大臣・藤原良房(白河殿)により建立された白河別業。後に太政大臣/関白/摂政を務めた藤原師実により白河天皇に献上され、白河天皇はやがてこの地に『法勝寺』を建立しました。
この法勝寺は白河院のみならず『京都市動物園』や『平安神宮』も含むこの一帯を寺域とした広大な寺院だったものの、鎌倉時代の大地震、南北朝時代の火災の被害によりとなりました。

現在見られる建築(旧館)と庭園は呉服商を営んでいた下村忠兵衛のお屋敷として1919年(大正8年)に造営されたもの。なお現在の本館が建つ場所には当初は洋館と和館が南北に並んでいたそうで、現在の旧館はその和館の一部。(洋館は戦後の1958年に解体)

作庭当初からほぼ形を変えていないという日本庭園は、冒頭に挙げた『平安神宮』や『京都市京セラ美術館』、そして近隣の『無鄰菴』の庭園を手がけている(植治)が、それらと同じく“琵琶湖疏水”から水を引き入れ、東山山系を借景とした庭園。

現在は東山の姿こそ見えづらいですが(*引きの位置からほんの少し。2階からはきっとよく見える!)、和風建築との組み合わせ、和風建築や池の周りの植栽を写す綺麗な池泉、小川治兵衛のデザイン性が光る“流れ”、そして立派なマツの木の多さと美しい紅葉・青もみじ…。庭園だけの鑑賞が有料になったとしてもオススメしたい素晴らしい庭園!

宿泊しなくても見られる庭園ではありますが、“京都らしい文化財の宿”に泊まりたい方にはオススメ。

(2014年12月、2018年11月、2019年11月、2020年4月、2023年1月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

京都市営地下鉄東西線 蹴上駅より徒歩10分
最寄りバス停は「岡崎法勝寺町」バス停 下車すぐ

〒606-8333 京都府京都市左京区岡崎法勝寺町16 MAP

投稿者プロフィール

イトウマサトシ
イトウマサトシ
Instagram約9万フォロワーの日本庭園メディア『おにわさん』中の人。これまで足を運んで紹介した庭園の数は1,900以上。執筆・お仕事のご依頼も受け付けています!ご連絡はSNSのDMよりお願いいたします。
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