2020年、建築家・青木淳を新館長に迎えリニューアル。近代建築の奥には近代京都の有名庭師・七代目小川治兵衛作庭の日本庭園も。(24時間鑑賞可能)
京都市京セラ美術館 日本庭園について
「京都市京セラ美術館」(きょうとしきょうせらびじゅつかん/京都市美術館)は京都市・岡崎エリアに1933年(昭和8年)に開館した美術館。現存する日本の公立美術館ではもっとも古い近代建築を有し、その裏手(東側)には近代京都を代表する庭師・七代目小川治兵衛(植治)が作庭した日本庭園が残ります。
『青森県立美術館』などを手がける現代日本の建築家・青木淳さんを新たな館長として再整備・改修を経て2020年5月にリニューアル・オープンした京都市京セラ美術館。その日本庭園は京都市美術館開館以前にあった「京都市商品陳列所」という施設の庭園として明治末期(1910年・明治43年に作庭されたもの。
庭園そのものは琵琶湖疏水を引いた池泉と東山山系を借景とした七代目小川治兵衛(植治)らしいスタイルの庭園――なんだけど、周囲の『無鄰菴』、『平安神宮神苑』、『白河院庭園』などと比べると自然風というよりはオーソドックスな池泉庭園といった趣き。
美術館のリニューアル前、初めて京都市美術館を訪れた時には「あれ、池泉庭園があるじゃん」ぐらいの感じで小川治兵衛の作庭だと知ったのは後のことだったのだけど――2020年に向けたリニューアルにおいてはこの日本庭園の見せ方・活かし方についても色々と意図を持って進められたようです。
■ア 京都市美術館の再整備のあり方について(京都市公式HPより)
《小川治兵衛の日本庭園を尊重しレストランの前庭と位置づけて、成立ちを検証・再整備を行うことが可能です。展望デッキからの知恩院への眺望と合わせて一体的な庭園ゾーンと捉え直し、動物園側からの来園者にも落ち着いた空間を提供します》
とあるように、前回訪れた際には「裏庭」的な立ち位置だったけど、2020年のリニューアル以降は動物園側の東の通りからのアプローチ、日本庭園⇒美術館という動線がかなり意図され、その結果庭園も明るくなり、美術館内からも東山の借景がより見やすくなっている。
さらにこの庭園、現在は365日24時間自由に散策可能。日中はもちろん、雪の降った早朝や夜間にライトアップされた姿も自由に見ることができます(中秋の名月なんかもここで楽しめる!)。普段は通常の夜間照明だけだけど、今後は夜に池の水に投影した作品とかも出てくるのかもなあ。
2020年、リニューアルオープン後最初に開催された展覧会が現代芸術家・杉本博司さんの『杉本博司 瑠璃の浄土』。それに関連し展示されていたのが、2014年にヴェネツィア・ビエンナーレで展示された《ガラスの茶室 聞鳥庵》――この作品がお目見えになるとぼんやり聞いていて楽しみにしていたし、なんか池の水抜いて工事してるなーとは思っていたけど、終わったその日から「おおぉ!ついに!」と思っていた(笑)のでその時の写真も多めに紹介。
The Glass Tea House Mondrian – Hiroshi Sugimoto
2021年1月までの期間限定だったけれど、七代目小川治兵衛×杉本博司×青木淳の組み合わせはほんとに…!最高の空間だったな…!(青木淳建築も青森県立美術館だけでなく新潟の建築作品にも足を運んでいたので)
*その後《聞鳥庵》は香川・直島の『杉本博司ギャラリー 時の回廊』に移築されました。
例年、10月の『ニュイ・ブランシュKYOTO』ではその日限りのアーティストや建築家によってオブジェやモニュメントも設置されます。京都市美術館とその庭園は今後も足繁く通います!
(2015年3月、2019年11月、2020年3月とそれ以降何度も訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)
アクセス・住所 / Locations
京都市営地下鉄東西線 東山駅より徒歩10分/蹴上駅より徒歩12分
最寄りバス停は「岡崎公園 美術館・平安神宮前」「岡崎公園 動物園前」バス停 下車すぐ
〒606-8344 京都府京都市左京区岡崎円勝寺町124 MAP