現在はアートギャラリー。四日市郊外の近代の資産家の邸宅に残る、近代京都の庭師が作庭した庭園。国登録有形文化財。
ギャラリー目黒陶芸館(旧平田家住宅)庭園について
【展示期間中のみ】
「ギャラリー目黒陶芸館」(ぎゃらりーめぐろとうげいかん)は三重県四日市市の郊外・八郷地区にあるギャラリー。展覧会を行う本館として国登録有形文化財「旧平田家住宅」が用いられており、そこには明治時代に京都の庭師により作庭されたという庭園が残ります。
このギャラリーを知ったきっかけはたぶん偶然Instagramを見つけた所から。四日市にこんな場所があるなんて知らなかった。『伝七邸』や『泗翠庵』と共に2021年7月に初めて訪れました。
ギャラリーの設立は1992年(平成4年)。陶芸・ガラス・金属等の“現代工芸”を主に紹介されており、今回訪れた時には現代作家・井掛紗百合さんの個展の開催期間中。ジャンルで言えば“陶芸作品”とのことだけど原色のような明るい色で、かつ不規則な造形でポップな作品の数々。初めて名前を知ったけれど、既にイタリア/スイス/アメリカのギャラリーでの作品展示や海外ギャラリーにコレクションされる等の実績。
そして旧平田家住宅について。平田家は江戸時代には当地の庄屋をつとめ、近代には大地主~資産家として当地の“桑名商業銀行”の経営にも参画、昭和中頃まで存在した旧八郷村では村長を務めた旧家。
現在の建物は明治時代に当主・平田祐十郎により新築されたもので、1870年(明治3年)に完成した主屋を皮切りに、中門及び塀・書院・米蔵が明治時代、東蔵・西蔵・門柱が大正時代の建築。いずれも国登録有形文化財。中でも巨大な門柱は愛知の岡崎から牛車でわざわざ運ばれてきたのだそう。
中門をくぐった先に書院から眺められる池泉回遊式庭園があります。これは書院とほぼ同時期、1885年(明治18年)に作庭されたもの。年代で言えば三重県内の国指定名勝『六華苑』より古く、これまで紹介した四日市の庭園では最も歴史がある。
その池泉は伊勢湾を表わしたものだそう。だとすると築山や石組は鈴鹿山脈や御在所山なのかな…?飛び石の中にある伽藍石や大きな平たい沓脱石にも目がいく、近代の資産家の邸宅に相応しい格を感じさせる日本庭園。今回はお許しが出なかったけど茶室側からも眺めて見たかった。
書院には“熾仁書”と書かれた墨書も。有栖川宮熾仁親王…?
京都の『小川家北白川別邸』でも思ったけど、現代アーティストの作品をこういう近代の日本家屋で見られるのっていいなぁ。また四日市訪れる時に展覧会やっていたら立ち寄りたい!
(2021年7月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)