新国立競技場を一望。“パビリオン・トウキョウ2021”で発表された、建築家・藤森照信の期間限定の新作茶室。
藤森照信設計 ― 茶室「五庵」について
【公開期間終了】
茶室「五庵」は東京2020オリンピック・パラリンピックにあわせて催された“パビリオン・トウキョウ2021”で展示された藤森照信建築の茶室。新国立競技場(国立霞ヶ丘競技場)から程近く、“ビクタースタジオ”の前に設置されました。
これまでも長野県・茅野の(『フジモリ茶室』(空飛ぶ泥舟・高過庵・低過庵)や滋賀県・近江八幡の『ラ コリーナ近江八幡』などに訪れて紹介している通り、藤森照信建築ファンです(載せてない所で訪れてる所もあります)。この期間限定の茶室もどうしても見たくて…2021年夏、1年半ぶりにコッソリ関東・東京を訪れました。
東京五輪へ向けて芸術・文化の側面から様々なイベントを行っていた『Tokyo Tokyo FESTIVAL』。過去に紹介した国の特別名勝庭園『浜離宮恩賜庭園』での夜間イベントもその一環。
そのほぼフィナーレを飾るこのイベントは、新国立競技場を中心とする複数の場所に、有名建築家や現代芸術家による建物・オブジェが設置された“自由で新しい都市のランドスケープを提案する世界初の試み”。実行委員長はワタリウム美術館・和多利恵津子さん。自分が作庭家・重森三玲の存在を知ったのは京都ではなくワタリウム美術館でした。
独特な建築・茶室をこれまで残してきた藤森照信さんの新作茶室。茶室の施工は川本英樹(川本家具製作研究所)、基壇の設計は大嶋信道(大嶋アトリエ)、緑化施工は大林武彦(株式会社 大林環境技術研究所)、そして工学院大学の学生さんらの協力により制作されました。
空飛ぶ泥舟、茶室“徹”、高過庵などに次ぐ、高いところに席をもうけた茶室シリーズに加わった本作。今回は芝などで植栽された一階部分から中のハシゴを上って(暗い部屋からハシゴを登る行為を躙り口を潜る行為に再解釈)、そこから斜め向かいに新国立競技場を眺めるために造られた席。
これを書いている現在はすでに解体されていますが、今後は長野県茅野市に移築されるそう『フジモリ茶室』のエリアかな?)。きっとあの高台に移された“五庵”からの茅野市内の眺めも良いだろうなあ。
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このパビリオン・トウキョウ、序盤にも書いた通りテーマは“ランドスケープ”であり、実行委員には二子玉川の日本庭園『帰真園』を作庭した庭園史家・進士五十八さんも名を連ねていたものの、クリエイターの中には作庭家が一人も名が連ねられなかったというのは、寂しさを感じる。
じゃあ真鍋大度+ライゾマティクス・草間彌生・会田誠・妹島和世・藤本壮介・石上純也・藤原徹平・平田晃久さんたちという方々と名前を並べられる方が居るかと言えば、うーん確かに難しいなあとは思う。
作品のクオリティだけじゃなく、“この人の名前の作品だったら行ってみたいと思う”と思ってもらう程の知名度がある方がシーンとして作れていない、それは伝えるメディアの課題でもあるし、“おにわさん”としても頑張らなきゃなと思う所です。
(2021年8月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)