伊達政宗の生母で最上義光の妹・保春院殿(義姫)の灰塚のある寺院に作庭された池泉庭園。
通宝山永昌寺について
「通宝山 永昌寺」(えいしょうじ)は初代仙台藩主・伊達政宗の命により、政宗の実母・保春院殿(義姫)の灰塚のある場所に江戸時代初期の1628年に創建された寺院。境内に池泉鑑賞式庭園があります。
元の思いつきは熊本市の熊本藩主・細川家ゆかりの庭園の時と似てるのですが、『有力大名だった伊達家のゆかりの庭園、もっと地元・仙台にあってもいいはず』。実際これまでも仙台市内では『輪王寺庭園』などに訪れているのだけど――これまで20回ぐらいは仙台に訪れてる中でそういえばあんまり寺町とか寺社仏閣系を巡ってないなあと思って。
そうして巡った一つが先に紹介した『寿徳寺庭園』なのですが、この寿徳寺や輪王寺のある寺院が多く集まってるエリアをGoogleマップ(の航空地図)を眺めていて、このお寺にも庭園がありそうだぞ――と足を運んでみました!
政宗の母・保春院殿(義姫)は出羽国・山形城主の最上義守の娘で最上義光の妹。当時最上家と伊達家が対立する中で、政宗の父・伊達輝宗に政略的に嫁ぎ、政宗を出産。その後の最上家と伊達家の間に挟まれる義姫公の立場は余分な情報が削がれたWikipediaで見ているだけでもとてもストーリー性があって、なんかドラマになっても面白そう――。
1623年に76歳で亡くなった後、葬儀の場となったのが現在の永昌寺の境内であり、その地に政宗の命で1628年に創建されたのがこの永昌寺。
庭園や伽藍などに関する情報は無く作庭年代は不明なのですが…(だから多分比較的新しいのだと思います。雰囲気は古そうだけれど)、伽藍の渡り廊下を抜けると池泉鑑賞式庭園を眺めることができます。
ちなみに建立のきっかけになった「灰塚」というのは伊達家特有の埋葬方法だったという説明が説明板にあります。ざっくり喩えると、藩主とその夫人にはちょっとした古墳的なもので祀るカルチャーが仙台藩にはあったと。
永昌寺の付近には“伊達政宗灰塚”の残る大願寺や、『輪王寺庭園』のある北山五山(この中にある『覚範寺』に保春院殿の墓所があります)も。また政宗によって建立された保春院殿ゆかりの寺院として『保春院』というお寺が若林区にあります。そちらは知らなかったので…また仙台行く時にチェックしてみよう!
(2019年5月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)