山縣有朋内閣で外務大臣を務めた青木周蔵の別邸は、ドイツ建築を日本に持込んだ松ヶ崎萬長の国内唯一の建築。
旧青木家那須別邸について
「旧青木家那須別邸」(きゅうあおきけなすべってい)は国指定重要文化財の洋館で、明治時代にドイツ建築を日本に持ち込んだ建築家・松ヶ崎萬長が設計を手掛けた国内に唯一残る作品。
道の駅「明治の森・黒磯」や奈良美智さんの個人美術館『N’s Yard』が隣接。N’s Yardが目的ではあったけど、国重文の洋館がそんなに近くにあるなら観たいので立ち寄りました!(N’s Yard行く方は併せてぜひ!)
(´-`).。oO(正直おにわさんは『建築メイン』の施設も多く取り上げてまして、お庭じゃなくこういう『洋館』『近代建築』『現代建築』目的で見ていただいている人も結構いらっしゃるような気がしている。
結構建築家について調べて辿り着いてる人も居るんじゃないかと。別に建築系のコラムはじめたから寄せて書いてるわけじゃなくて、ほんと、どれも好きなだけなんですよね…)
明治時代の山縣有朋内閣で2期とも外務大臣を務めた青木周蔵の別荘として建てられたもので、完成は1888年(明治21年)。先にこの地に政策で開墾された農場“青木農場”の管理棟も兼ねていたそう。栃木には山県有朋ゆかりの“山縣農場”もあるけれど、そういう時代だったんだなあ。
平成に入り栃木県に寄贈され、現在の姿は一度解体・復元、改修を経たもの。元の場所から50メートル程移動しているそうです。洋館への長い直線のアプローチは従来のままなのかな…。
設計を手掛けた松ヶ崎萬長(松崎万長)と青木周蔵の共通点は「ドイツ」。青木周蔵は学生時代にドイツへ留学、官僚になった後も長年ドイツ公使を務め“ドイツ翁”とまで呼ばれました。
そして松ヶ崎萬長はあの“岩倉使節団”一行としてドイツに渡り、長年ドイツで建築学を学んだのち帰国。帰国後にはドイツから建築家を招聘するなど、日本へドイツの建築様式を持ち込みました。
構法のことはよくわからないけれど、様々な点に“ドイツ式”の特徴が見られるそうで、その一つがウロコの柄をした外壁。すごくオシャレな洋館の中でも、畳の部屋なんかもある和洋折衷なところも素敵な近代建築…。
現在建物の周囲には春〜夏には緑と四季折々の花が美しい洋風の“ハンナガーデン”が広がります。また室内にあった古写真の一つには現存しない東京の青木周蔵本邸の建物外観+庭園の写真もあり。こちらも松ヶ崎萬長が手掛けた洋館と、和洋折衷の近代庭園の姿が見られます。貴重。
…ちなみに奈良美智さんも留学して学び、長く滞在したのはドイツ。この『ドイツで学んだ日本人』たちによる歴史的文化財建築の隣に奈良さんが個人美術館をかまえたのは、偶然?必然?
(2019年8月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)
アクセス・住所 / Locations
JR那須塩原駅・黒磯駅より路線バス「青木別荘前」バス停下車 徒歩5分
※筆者は別の場所への移動も考慮した結果、「道の駅 那須高原友愛の森」でレンタサイクルをして行きました(約7km)。道の駅までは那須塩原駅・黒磯駅より路線バス。新宿からの高速バスも停車。
〒325-0103 栃木県那須塩原市青木27 MAP