継体天皇や万葉集ゆかりの地に万葉集をテーマに開かれた公園内の日本庭園。国指定重要文化財の民家も。
万葉の里 味真野苑について
「万葉の里 味真野苑」(あじまのえん)は万葉集ゆかりの地である越前市・味真野地区に整備された市民公園。敷地内には郷土資料館をリニューアルした万葉集に関する資料館『万葉館』や池泉回遊式庭園、国指定重要文化財の『旧谷口家住宅』などがあります。
国指定名勝の『城福寺庭園』から約1kmほど。この城福寺庭園の記事の中にも書いたのですが、このエリアは駅からは離れているけど歴史ある地区。北陸出身と伝承される26代天皇・継体天皇は中でもこの味真野地区にも住んでいた?と言われ、苑内には継体天皇の石像が建ちます。
また『万葉集』との関わりとして、奈良時代に政争に巻き込まれ平城京からこの地に流された中臣宅守と、都に残り聖武天皇に仕えた狭野弟上娘子の間で詠まれた悲恋の歌が63首も収められていること。その他にも万葉集の編集にも関わった万葉集の代表的歌人・大伴家持の詠んだ詩にも越前市・武生が舞台となった歌があることから、それにちなんで現代に整備されたのがこの公園。
2015年に初めて城福寺を訪れた際にこの公園も寄ってたのですが、当時は「こんな公園もあるんだな〜」ぐらいにしか思っていなかった。そういえばあれ日本庭園だったなあ…と思い返したので再訪!
この池泉回遊式庭園はこの地で詠われ万葉集に収められた「恋(悲恋)」が実はモチーフになっているらしく、7〜8枚目あたりの築山は「比翼の丘」といい、これは唐時代の中国で玄宗皇帝が最愛の楊貴妃に詠んだ詩から来ているそう。その2つの築山の上には中臣宅守・狭野弟上娘子の万葉集歌碑があり、その他にも池泉周辺に万葉集歌碑があります。
公園の隅にある茅葺き屋根の国指定重要文化財「旧谷口家住宅」は江戸時代後期の農家建築で、武生の別の場所に建っていたものを移築したもの。その建築形式は「越前Ⅰ型」と分類されるそうです。その間取りに特徴があるそうなのですが、これまで訪れた2回は特段内部公開をしている様子はなかった…。
そのほか園内にはツバキ園に水芭蕉園、桜並木に藤棚、牡丹園に菖蒲池、蓮池…と四季折々の草花が。今回訪れた時期は冬から明けたばかり…で梅の花しか見られなかったけど(ちょうど冬の間に雪で降りた落葉が片付けられている最中でした)、もう少し後の季節からは色んな花木が見頃を迎えたんだろう!日本庭園も春はツツジ・サツキあたりが花を咲かせてきれいなんだろな。
ちなみに近隣には『タケフナイフビレッジ』というかっちょいい建築もあります。越前市編、次の更新からは武生の街中なのですが――武生駅と味真野苑の間には“猫寺”として人気がある「御誕生寺」というお寺さんも。今回は時間の都合で寄れなかったのだけど、次回は寄りたい…!
(2015年10月、2019年3月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)
アクセス・住所 / Locations
JR北陸本線 武生駅より約7.5km(駅前観光案内所にレンタサイクルあり)
武生駅より路線バス「味真野神社前」バス停下車 徒歩約10分(本数少ないです)
〒915-0031 福井県越前市余川町55-1 MAP