東京の梅の名所。徳川家康ら徳川将軍家にも崇敬された神社に、現代の作庭家・安諸定男が2010年代に作庭した日本庭園。
湯島天神(湯島天満宮)庭園について
「湯島天神」(ゆしまてんじん)の通称で知られる『湯島天満宮』(ゆしまてんまんぐう)は“学問の神様”菅原道真をまつる、東京を代表する天満宮(天神さま)。徳川将軍家に崇敬された江戸時代に建立の表鳥居が東京都指定有形文化財。そして境内には現代の作庭家・安諸定男さん(安諸庭園)により2010年代に作庭された梅園・日本庭園があります。
東京在住だった頃に一度訪れた記憶はあるけど「庭園」を見た記憶がなかった湯島天神…2022年7月に久々に訪れました!
その歴史は古く、古墳時代の458年に雄略天皇の勅命により創建。そこからだいぶ時間を経て南北朝時代の1355年、地域住民の懇願により菅原道真を勧請し合祀。天満宮となったのはこの時から。
一層の発展を遂げたのは徳川家康が江戸に入ってから。1591年に家康が社有地を寄進したほか、江戸時代中期に火災で社殿を焼失した際には五代目将軍・徳川綱吉が金五百両を寄進するなど徳川将軍家に保護されました。東京都指定文化財の「大鳥居」は鋳銅製で、その焼失から幸運にも逃れたもの。(なお現在見られる社殿は平成年代の1995年に総檜造りで改築されたもの。)
“学問の神様”として多くの学者や民衆に親しまれたほか、歌川広重の『名所江戸百景』など文化的な舞台としても描かれた湯島天神。『太宰府天満宮』や『北野天満宮』と同じく梅の名所でもあり、その梅園の中には池泉回遊式の日本庭園があります(*訪れた日は結界があり中には入れない状態。梅の時期だけ歩けたりするのかな?)。
海外の日本庭園作庭も手掛けられ、過去には大物実業家の出入り庭師でもあった現代の巨匠のひとり・安諸定男さんの広く公開されている庭園としては代表作の一つ。その庭園のテーマは“道真公の理想郷”。
庭園の背後を彩る梅以外にもモミジや下草が自然の景を作り、その奥の滝からの流れや音は東京のど真ん中であることをちょっと忘れてしまう姿。鱗の姿のような石積みに少しずつ姿を変える石畳の園路、そして木橋〜土橋〜石橋と色んな橋。広さ以上に多彩な風景を感じさせてくれる庭園。また中を歩ける時にも訪れたいな〜。
この園内には湯島天神を舞台とした泉鏡花『婦系図』にちなんだ筆塚も。また境内には王貞治さんにまつわる石碑など現代の人にとっても親しみやすい?碑もあります。
現在は週末のみ開館している宝物殿では横山大観、竹内栖鳳、菱田春草、伊東深水など近代の日本画家による作品を所蔵・展示。近くへ行った際はぜひ立ち寄ってみて。
(2022年7月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)
アクセス・住所 / Locations
東京メトロ千代田線 湯島駅より徒歩3分
東京メトロ丸ノ内線・都営地下鉄大江戸線 本郷三丁目駅より徒歩8分
JR山手線・京浜東北線 御徒町駅より徒歩8分
JR中央線 御茶ノ水駅より徒歩12分
〒113-0034 東京都文京区湯島3丁目30-1 MAP