旧矢掛脇本陣 高草家住宅

Kyu-Yakage-Wakihonjin Takakusa Residence Garden, Yakage, Okayama

日本で唯一、重要文化財の本陣/脇本陣が現存する国重要伝統的建造物群保存地区・矢掛。戦国大名・山名氏をルーツとする豪商のお屋敷に残る茶室と露地庭。

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旧矢掛脇本陣 髙草家住宅について

【土・日のみ公開】
「旧矢掛本陣 髙草家住宅」(きゅうやかげほんじん たかくさけじゅうたく)は国選定の重要伝統的建造物群保存地区「矢掛町矢掛宿」の町並みの代表的な商家/建築で、主屋をはじめ9棟が国の重要文化財に指定。茶室や露地風の庭園があります。本陣の『石井家住宅』からは徒歩5分ほど。

ローカル線の井原鉄道の駅から徒歩10分程、2020年に重要伝統的建造物群保存地区(重伝建)に選定された岡山県・矢掛の古い町並み。現代には幹線から外れましたがかつては山陽道(西国街道)の宿場町として栄え、約1kmの区間に江戸時代~近代の古い町家/商家/そしてレトロな建築がズラリと並びます。ちなみに江戸時代初めにこの矢掛を含む備中国を治めたのは庭園でも有名な小堀遠州。遠州の書状にも矢掛は登場したとか。

そんな矢掛宿には大名や幕府役人など要人が宿泊所・休憩所とした本陣と脇本陣が江戸時代の姿のまま現存。いずれも国指定重要文化財で、『本陣と脇本陣が共に重要文化財クラスで現存』しているのは日本全国で見ても矢掛だけ!と言う貴重な場所。そんな宿場町の倉敷側、宿場町の入口の程近くに位置する間口の大きなお屋敷が「旧矢掛脇本陣髙草家住宅」、2023年にはNHKのドラマ『犬神家の一族』のロケ地にもなりました。

そのルーツは山陰地方の守護/戦国大名・山名氏(因幡山名氏)と伝わる髙草家。戦国時代、織田信長軍・羽柴秀吉による因幡侵攻で鹿野城(高草郡)から敗走した山名家、嫡流家は徳川家に仕える武家として存続しますが、その分家の一つは備後方面へ逃れ矢掛へと移住。
江戸時代中期の1758年(宝暦8年)には現在地に居を構え、「東平田家」の屋号で矢掛宿の両替商として財を成し、以降江戸時代後期にかけて庭瀬藩の会計方・札元、当地の大庄屋もつとめました。

石井家とはまた印象が異なる、白壁&張瓦の蔵座敷(松蔭楼)が目を引く高草家。約2,000平方メートルの敷地の中に建つ9棟(表門/主屋/表屋/蔵座敷/内倉/大倉/中倉/米倉/門倉)が国の重要文化財で、その多くは江戸時代後期の建築(最も古いのは1764年・宝暦14年から残る中倉)。

本陣/脇本陣と要人を迎える役割は同じながら、商売が異なる『石井家』とはお屋敷の構造がだいぶ異なるのは面白い所で、表屋とほぼ一体化した主屋の中に賓客を迎えるための(数寄屋風の意匠の)お座敷があります。そこから順次奥へと進むとなまこ壁の重厚な蔵が立ち並び、最奥に茶室と露地庭が佇みます。

近年は町や村全体をホテルに見立てたまちづくりをする“アルベルゴディフーゾ”(まちごとホテル)の取り組みでも注目を集め、無住となっった古民家を宿泊施設としてリノベーションされている矢掛。先述の「嵐山」は夜にはライトアップされるなど、まさに「町まるごとホテル」を体現。
なお町並みからは少し離れていますが、矢掛には岡山県指定名勝の文化財庭園『大通寺庭園』も。合わせてチェックしてみて。

(2023年9月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

井原鉄道 矢掛駅より徒歩9分

〒714-1201 岡山県小田郡矢掛町矢掛1981 MAP

投稿者プロフィール

イトウマサトシ
イトウマサトシ
Instagram約9万フォロワーの日本庭園メディア『おにわさん』中の人。これまで足を運んで紹介した庭園の数は2,000以上。執筆・お仕事のご依頼も受け付けています!ご連絡はSNSのDMよりお願いいたします。
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