“児島の塩田王”野﨑家が明治時代に造営した別荘は、現在は人気のうどん店!手掛けたのは南画家/作庭家・久我小年。国登録有形文化財。
梅荘(旧野﨑家別荘)庭園について
「梅荘」(ばいそう)は“ジーンズの聖地”倉敷市・児島の町の郊外にあるうどん店。その建築は元は“児島の塩田王”と呼ばれた野﨑家が明治時代に築いた別荘で、本館/別館/離れ/女中部屋及び台所/蔵の5件が国登録有形文化財。
児島の中心部・ジーンズストリートには国指定重要文化財となっている約3,000坪の本邸『旧野﨑家住宅(野﨑家塩業歴史館)』を残す野崎家。
江戸時代後期、野崎武左衛門の代に塩田開発・製塩業と新田開発で財を成し大庄屋となり、孫の野崎武吉郎は塩田地主として更に野崎家を発展させ明治時代に貴族院議員、野崎定次郎は衆議院議員を務めました。
その野﨑武吉郎が1907年(明治40年)に児島の郊外・瀬戸内海が一望できる小高い場所に建造した別荘がこちら。旧野﨑家住宅も複数の茶室が残りそれを巡るめちゃくちゃ良い庭園だったので、きっとここにも良い庭園が残っているはず…!と思って、この2021年4月に訪れた岡山では最も行きたかった場所。
…しかし残念ながら訪れた日はなかなかの大雨でその眺望は楽しめず、庭園の写真も暗いのが心残り。
ところでそんなお屋敷がうどん店として現役というのも結構変わっている/驚きなんだけど、人気店のようで続々と人が訪れていた。名物は「えび餅ぶっかけうどん」。餅の天ぷら初体験!(あと更に言うと、讃岐との結びつきが強い中で育まれた『児島のうどん』カルチャーは児島の観光協会も推しているようで、駅にはうどんマップが置かれていた)
一人だと本館と女中部屋及び台所を結ぶ渡り廊下(を改装した店舗棟)のカウンターへ案内されるようだったけど、複数名だと本館・別館の座敷に案内いただけるようだった。座敷上がりたかったな。
岡山の近代画家であり作庭家としても活躍した久我小年が監督し、大工は京都より呼び寄せ建築された梅荘。
本邸の茶室/露地庭も野﨑家のお茶文化への親しみを感じさせるものだったけれど、こちらも特に離れが近代的な数寄屋風建築といった趣き。この日の離れは雨戸も閉めて外観のみだったけど(雨じゃなくても現在はそうなのかな)、半月窓や火灯窓、網代天井など煎茶好みの空間なんだそう。
久我小年に関する情報もまた決して多くないのですが、倉敷・玉島で感動した邸宅『西爽亭(旧柚木家住宅)』の柚木家の出身(…てことはあの庭園にも携わっているのかなあ)。
“梅荘”の名の通り庭園には梅の木も多く、初春に訪れても彩られた庭園が眺められるかも。また岡山や香川を訪れる際に立ち寄りたい!次は晴れた日に!
(2021年4月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)
アクセス・住所 / Locations
JR瀬戸大橋線 児島駅より約3km(*駅にレンタサイクルあり)
児島駅より路線バス「大池」バス停下車 徒歩2分
〒711-0933 岡山県倉敷市児島通生1200 MAP