豪農の館 内山邸庭園

Former Uchiyama Residence Garden, Toyama

“越中一千石地主”と呼ばれた豪農屋敷に残る、藪内竹翠指導の茶室や徳富蘇峰の讃えた庭石のある庭園。

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豪農の館 内山邸庭園について

「豪農の館 内山邸」(ごうのうのやかた うちやまてい)は“越中一千石地主”と呼ばれた豪農の邸宅。その大部分は幕末の1868年(慶応4年)に建造され、旧内山家住宅として主屋や茶室“三入庵”“夜雨廰”をはじめ門・土蔵など合計10棟以上が国登録有形文化財となっています。

2020年9月に初めて訪れました!富山駅から約4kmの郊外。数年前(2011年)にこの付近のカターレ富山のグラウンドに練習試合を見に行ったことがあったけど、こんな施設があるとは気づかなかったな…。“国登録有形文化財”という文化財のクラス、このサイトでも良く登場しますが、観光・自治体的にも一切PRされないものも数多くある。けどこの内山邸は道路標識でけっこう大々的に明示されています。
あとそのロケーションから映画やドラマのロケにも幾度と使われているらしく、邸内には松山ケンイチ、蒼井優、池松壮亮、黒木華などなど有名俳優のサインが。そして別日で2パターン飾られている石橋蓮司。

内山家は室町時代の1521年~1531年頃に当地で新田開発をし、それ以来450年続いた家柄。江戸時代には富山藩主も来訪する豪農となり、明治以降も大地主として栄え、12代目当主・内山松世は文化人として“内山外川”を名乗る一方で衆議院議員もつとめました。
1977年に13代目当主・内山季友氏により富山県に寄贈され、現在は富山県民会館の分館(公共施設)として公開・運営されています。

“一千石地主”と近い言葉“千町歩地主”は以前新潟の『孝順寺庭園』で書きました。計12,000平方メートルの広大な敷地の中に、建物の周囲にも広大な“庭園”と言えるスペースが取ってあるけれど、いわゆる目立つ“日本庭園”的なものがあるわけではなく。冒頭の月見台や書院の正面に“丹山惴石”と名付けられた、京都の鞍馬の赤石の巨石がべたっと平らに配されたシンプルな庭園。その赤石は徳富蘇峰が訪れた際に名石と讃えたそう。

表門から見ると奥、敷地の東側には“夜雨廰”、藪内流家の指導を受けて造られた“三入庵”という明治~昭和初期の2つのお茶室があり、月見台そばの飛び石は三入庵へ向けて配されていることが後からわかる。邸内にももう一つ、藪内流10代目・藪内竹翠宗匠のお茶室があるので…12代目の外川の茶人としての熱を感じます。また約60本の梅の木が植えられている梅の名所でもある。

邸内で特にかっこいいのは、藪内竹翠の茶室とともに明治20年に増築されたという付け書院。伝統的な豪農屋敷の中で浮いている、ダイヤ柄とVの字を組み合わせた欄間!の近代和風建築感。またそれ以外の、お抱え職人・稲垣才次郎による欄間のすかし彫りも一見の価値あり。
その他にも内山家から寄贈された美術品が現在も床の間や各所に展示されています。

(2020年9月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

JR北陸新幹線 富山駅より約4km(市内にレンタサイクルあり)
富山駅より路線バス「住吉内山邸口」バス停下車 徒歩10分
富山ライトレール 城川原駅より徒歩30分

〒930-2211 富山県富山市宮尾903 MAP

投稿者プロフィール

イトウマサトシ
イトウマサトシ
Instagram約9万フォロワーの日本庭園メディア『おにわさん』中の人。これまで足を運んで紹介した庭園の数は2,000以上。執筆・お仕事のご依頼も受け付けています!ご連絡はSNSのDMよりお願いいたします。
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