
阿波の青石が豪勢に使われている豪快な回遊式大名庭園で、上田宗箇の代表作。国指定名勝。
旧徳島城表御殿庭園(千秋閣庭園)について
「徳島城表御殿庭園」(とくしまじょうおもてごてんていえん)は阿波徳島藩を治めた大名・蜂須賀家の居城「徳島城」の表御殿に造られた庭園で、作庭は桃山時代〜江戸初期の武将・茶人であり茶道「上田宗箇流」の祖である上田宗箇によるもの。国指定名勝。JR徳島駅から線路を挟んですぐ裏手にある徳島中央公園(徳島城跡)の中、「徳島城博物館」の隣に位置します。
阿波の青石をふんだんに使った築山泉水庭と枯山水庭園が一体となった桃山様式の庭園で、結論から言うと名庭園。複数の大名庭園・国名勝庭園を手掛けている上田宗箇ですが、代表作はこの庭園じゃないかと思います(名古屋城二の丸の修復が終わったらまた違う印象を受けるかもだけど…)。
現在「徳島城博物館」のある場所にかつて藩主・蜂須賀家の過ごした表御殿があり、枯山水庭園が「書院の庭」、築山泉水庭が「居間の庭」として築庭されたもの。心字池を描いた池泉庭園は江戸時代には堀から水を引き入れており、その堀が助任川・吉野川から紀伊水道まで通じていたため「潮入り庭園」と呼ばれていたとのこと。
池泉回遊式庭園と枯山水庭園両方ある、みたいなところは他にもあるし、都内の大名庭園ほど広くもない。けれど徳島城表御殿庭園はその2つの庭園が程良くコンパクトにまとまっていて、それであって阿波の青石を主体とした豪快な石組で世界観が統一されている――程良くコンパクトだからこそ、10mもある自然石での石橋がよりインパクトを与えてくる。回遊しててワクワクする!
独断と偏見による当サイトの「名庭園10選」の中にも選びたいぐらい素晴らしい名園なのですが――同市内の「阿波国分寺庭園」と迷った末、地域バランス的に落としてます…。が、地域バランス考えなければ本当は入れたい。
しかもこれで入場料50円なんですよ。申し訳なくなる。庭園の見学料の妥当性って難しいのですが(多くの寺院が数百円なのでそれが一つの基準だけど、「そもそも、それも安い」という考え方もある)、たとえば民間である「足立美術館」が2,200円ということを考えれば、この庭園は1,000円以上しても「観るべき!」って言える庭園。
ただ実際その値段だと地元の人の足は遠のくと思うので…芸術性と「市民に親しまれる」ことのバランスは色んな考え方があると思う。せっかく安いのだから、徳島県民が日本中に誇れる庭園であり続けてほしいです。
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この庭園のあった「徳島城」は桃山時代に完成した城郭で、桃山〜江戸期を通じ明治の廃藩置県まで蜂須賀氏の居城でした。日本100名城に選定。明治時代、本多静六と本郷高徳の設計により公園として開園、現在は表御殿庭園のみならずバラ園もあり、また庭園と隣接する「徳島城博物館」では徳島藩や蜂須賀家に関する展示を観ることができます。近年、数寄屋橋も再建。
ちなみに「千秋閣庭園」(せんしゅうかくていえん)とも呼ばれていたそうですが、この「千秋閣」は表御殿のあった場所に明治時代に皇太子行啓に際し造られた宿泊施設の名前。庭園内にそれっぽい遺構はないですが…現在は徳島市内の別の場所で「ホテル千秋閣」として営業中。
この庭園、7年前に初めて訪問した時は雪の日でした。解像度が低いので後半に4枚のみ載せてますが、それ以外の写真は参考までにこちらにて。
(2012年1月、2016年10月、2019年1月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)
アクセス・住所 / Locations
JR高徳線 徳島駅より徒歩10分
※下の地図では少し遠回りで案内されてますが、線路沿いにショートカットできる歩道橋があります。
〒770-0851 徳島県徳島市徳島町城内1-8 MAP