多聞寺庭園

Tamon-ji Temple Garden, Tsurugi, Tokushima

剣山の中腹の山岳集落に残る、室町時代の作庭と推定されている龍門瀑の美しい庭園。徳島県指定名勝。

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多聞寺庭園について

「多聞寺庭園」(たもんじていえん)は室町時代に作庭されたと推測されている徳島県指定名勝の庭園。
2019年の1月に初めてつるぎ町・美馬市の庭園を巡ったのですが、その時に行き逃して――いつか行くチャンスあればいいなあと思っていた場所なのですが、また徳島に行くことになったこの夏に初めて訪れました!

年始の段階で把握しつつも、行けなかった理由はなんと言っても“アクセスの悪さ”

● 最寄駅(無人駅)まで約9km
● 駅からここまでの間にバス停は無し
● 一応11km離れた道の駅でレンタサイクルはできる(普通自転車)
● だけど問題は距離よりも標高にして約250m登る上り坂…
※冬はそのレンタサイクルで貞光〜脇町まで往復30km程度は走ったけど、ほぼ平坦なコースだったんですよね…

この交通条件では厳しいな〜〜いつか行けるといいな〜〜と思っていたのですが…この夏は、この庭園の為というわけではなく主に宿の都合で【高松⇒吉野川⇒徳島⇒高松】をスクーターで移動するという旅程を立てることに。せっかくスクーターで移動するなら徳島県最難関庭園のここに行かない手はない!ということで半年ぶりに美馬・つるぎに行きました。
ちなみに…公式Facebookを見ているとその立地を逆手に取って?サイクリストの聖地というかサイクリスト向けの御守りを授与するなどそちらへ向けてPRをしているみたい。結構自転車で訪れている人が居るっぽい…ということにビックリ。電動アシスト付きか、無くてもクロスバイクならそれ以上の標高アップも経験はしてる…けどなあ…

本堂?の脇にある池泉鑑賞式庭園が県名勝の庭園で、自由に拝観することができます。この庭園の特徴はなんと言っても中央の枯滝石組。この龍門瀑の作風や、庭園とともに南北朝時代〜室町時代の毘沙門天像や弘法大師像(いずれもつるぎ町指定有形文化財)が江戸時代以前からこの地に祀られていたことなどから室町時代の作庭と推定されています。

この龍門瀑に関する説明を見ていると、距離にすれば12kmとそんなに遠くはない美馬の同じく徳島県指定名勝『願勝寺庭園』との類似性もあるのかなあと。願勝寺の時には京都・天龍寺が引き合いに出されていたから、高知で国名勝庭園を残している夢窓疎石との関連性なんかを考えたりしてみたけれど…。あとは『土々呂の滝』という自然の滝がこの近辺の名所のようなので、表現としてはそことの関連性もあるかもしれない。

なお多聞寺がこの地に移転してきたのは江戸時代の1698年だそうなので、当初のこの庭園は多聞寺としてではなく別の寺社の為に作庭されたもの。今回訪れた際には境内のサルスベリもピンクの花をつけて見頃を迎えていたのですが、これも多聞寺が移転する以前よりあったものだそうで樹齢は600年以上とも。

行くまでは、どんな山の中にあるんだろう…!と半分恐々としていて――実際残り1kmの山道は獣と遭遇しても不思議ではないような雰囲気だったけれど、そこまでの道中はたびたび色んな集落を通る道のりだったし、地図で見てると(引きの地図で見てるとなんにもないように見えるけど)近隣には結構他にも神社が結構この辺に点在している。
剣山信仰だったり、祖谷に代表されるような豊かな自然を活かした山岳集落が古来から形成されてきた地域なんだろうなあ。次は自転車で行ってみたい!

(2019年8月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

JR徳島線 阿波半田駅より約9km ※公共交通機関は無さそう…
約11km離れた貞光の道の駅に普通自転車のレンタサイクルあり

〒779-4405 徳島県美馬郡つるぎ町半田上喜来57 MAP

投稿者プロフィール

イトウマサトシ
イトウマサトシ
Instagram約9万フォロワーの日本庭園メディア『おにわさん』中の人。これまで足を運んで紹介した庭園の数は1,900以上。執筆・お仕事のご依頼も受け付けています!ご連絡はSNSのDMよりお願いいたします。
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