滝谷寺庭園

Takidan-ji Temple Garden, Sakai, Fukui

柴田勝家が寄進した国重文の山門はじめ歴史的建造物の残る古刹の国指定名勝庭園。宝物殿には国宝も。

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瀧谷寺庭園について

「滝谷寺」(たきだんじ)は戦国大名の朝倉氏や柴田勝家、福井藩主・松平家らに厚く保護されてきた寺院で、柴田勝家の寄進によって建立されたと伝わる山門(鐘楼門)を含めた多くの建造物が国指定重要文化財、本堂裏の庭園はとなっています。
また名勝庭園以外にも観音堂(こちらも彫刻の美しい国重文)の前の石庭や、順路上には“龍泉庭”といった庭園も残ります。観音堂前の庭園の作庭は中根金作。2019年に約4年ぶりに訪問しました!

滝谷寺の創建は南北朝時代の1375年。奈良の『大乗院』が支配していたこの地に、紀州『根来寺』の睿憲上人によって開かれました。前述の武将を始め、歴代の越前国の領主・支配者の祈願所として栄え、室町時代建築の鎮守堂、山田鬼才による欄間が美しい江戸時代建築の観音堂、同じく江戸時代建築の庫裏や本堂が国指定重要文化財。また宝物殿にもの「金銅毛彫宝相華文磬」をはじめ、多くの文化財が所蔵されています。

本堂・書院の裏にある国指定名勝の池泉鑑賞式庭園は江戸時代前期〜中期の作庭と言われており、福井県では(一乗谷朝倉氏庭園や養浩館庭園などを抑えて)最初の国名勝庭園に。境内の斜面を活かした庭園は、廊下を歩きながら景色の変化を楽しめる位の大きさを有します。また庭園の上段にある客殿は大正時代の建築で県指定文化財。拝観では立ち入ることができない(はず)ですが、あの場所から眺めた庭園もまた美しいんだろうな。

この名勝庭園に負けじと、観音堂前の庭園も苔の美しい庭園で――。パンフレットに“九つの石を心字に配し――”と説明がある以外、年代や作者の情報は無かったのですが、中根庭園研究所の業務経歴

1968年05月 滝谷寺観音堂庭園設計施工(福井県)

1972年02月 滝谷寺観音堂前庭園設計施工(福井県)

とある。すなわちこの庭園は氏による作庭ということなのかなと(そして足立美術館より前、初期の作品)。氏の作品の中でここまでシンプルな苔+岩、という庭園はあまり見ない気もする――。
順路の最後にある池泉庭園“龍泉庭”は名勝庭園と比べても大きな岩による石組が特徴的。雰囲気は古庭園っぽいんだけど、中根庭園研究所には瀧谷寺の実績が幾つか見られるから、もしかしたらこれもそうなのかな…。

今回訪れたタイミングでは参道で落椿も多く見られて、それもまた美しかった。その景観から、瀧谷寺は『椿のある寺百選』にも選ばれています。…そんな百選もあるんだなあw

(2015年10月、2019年3月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

えちぜん鉄道三国芦原線 三国駅より徒歩8分(三国駅にレンタサイクルあり)

〒913-0054 福井県坂井市三国町滝谷1丁目7-15 MAP

投稿者プロフィール

イトウマサトシ
イトウマサトシ
Instagram約9万フォロワーの日本庭園メディア『おにわさん』中の人。これまで足を運んで紹介した庭園の数は1,900以上。執筆・お仕事のご依頼も受け付けています!ご連絡はSNSのDMよりお願いいたします。
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