尾道のレトロな商店街の先に佇む文化財庭園…千利休作の国宝茶室“待庵”を写した茶室“妙喜庵”を中心とした露地/茶庭。尾道市指定名勝。
爽籟軒庭園について
【土日祝のみ公開】
「爽籟軒庭園」(そうらいけんていえん)は西日本の代表的なレトロな町のひとつ「尾道」の名家・橋本家の別荘内に江戸時代後期に作庭された庭園で、尾道市指定文化財(尾道市指定名勝)。園内にある茶室『明喜庵』は京都・山崎の千利休作の国宝茶室『待庵』の写しで、こちらも尾道市指定重要文化財。
2023年春に約5年ぶりに訪れたのでその際の写真を交えて紹介。
尾道駅からず〜っと続くレトロな商店街を抜けて、駅から徒歩約20分歩いた先に現れる土塀に囲まれたお屋敷。
橋本家(屋号・加登灰屋)は江戸時代には代々尾道の町年寄をつとめた名士。明治時代には広島銀行の前身「第六十六国立銀行」を設立〜尾道の近代化にも尽力するなど豪商の地位を築くかたわら、頼山陽、菅茶山、田能村竹田、本因坊秀策など多くの文化人/文人墨客と交流/パトロンとして支えました。
そんな尾道の名家に江戸時代に築かれた別荘庭園がこちら。江戸時代後期の1850年(嘉永3年)に建築された茶室『明喜庵』を中心とした茶庭/露地庭で、その茶室とともに2007年(平成19年)に橋本家から尾道市へ寄贈され公開が始まりました。なおお茶室は貸茶室としても利用可。
受付を済ませてすぐの待合から始まる南北に長いお庭は多くの樹木に囲まれ、冬〜初春までは尾道の山々の景観を、春以降はまさに“市中の山居”を体現した自然らしい茶庭を体感することができます。なお奥にある池泉はこじんまりながら尾道水道から水を引き入れた“汐入の池”になっているのもこの庭園の特徴のひとつ。
なお国指定文化財(国指定名勝)の庭園『浄土寺庭園』とは徒歩5分ほどの距離。きっと浄土寺の方が訪れる方は多いと思いますが、もう一つの文化財庭園もぜひあわせてチェックしてみて。
(2018年3月、2023年4月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)