肥後熊本藩の医学校「再春館」の設立に関わった村井家の別荘に江戸時代中期に作庭された池泉回遊式庭園。
叢桂園公園について
「叢桂園」(そうけいえん)は肥後熊本藩の医師であり、医学校「再春館」の開設にも携わった村井家の別荘に作られた池泉回遊式庭園。
熊本市には『水前寺成趣園』という国内随一の素晴らしい大名庭園がありますが、それ以外の日本庭園の情報ってあまり無いなあと思っていて。細川家は江戸の下屋敷にも素晴らしい庭園を残す程なのだから、熊本にももっと庭園が残っていても良いはず――と思っていて、その中で調べて足を運んだのがこの庭園とすぐ近隣の『釣耕園』(細川家の御茶屋に造られた庭園)。
平成の名水百選「金峰山湧水群」一帯の庭園群の一つであるこの庭園は、藩の政策として医学校「再春館」を開設することを肥後熊本6代藩主・細川重賢に進言した村井見朴の長男・村井琴山とその息子・村井蕉雪による作庭と伝わる庭園で、完成したのは江戸時代中期。ちなみに「再春館製薬」の企業名はこの医学校が由来。(企業体としてルーツがあるわけではない)
叢桂園の上部にある「釣耕園」の池泉庭園から水を引いていて、山縣有朋の庭園で見るような“流れ”が特徴的な庭園(以前は大きな池泉もあったそうですが、現在はそれっぽい池は見られず)。
現在は庭門以外には建物も残っておらず完全に無人で自由見学ですが、かつては頼山陽などの多くの文人墨客が訪れたそう。小川の流れを中心とした庭園は整備されたらすごく雰囲気が良さそう。2回とも12月下旬に訪れましたが、紅い葉が多く落ちていたので紅葉の時期に訪れたら一番きれいなのかも――その落ち葉の下の苔も美しそう。また次回の熊本でも訪れたい庭園!
(2016年12月、2018年12月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)