
江戸時代に仮の御所“粟田御所”と呼ばれた皇室ゆかりの寺院…相阿弥/小堀遠州/七代目小川治兵衛と各時代の京都を代表する作庭家の庭園も。国指定史跡。
青蓮院門跡/青蓮院庭園について
「青蓮院」(しょうれんいん)は京都市東山区、京都市営地下鉄・東山駅から程近くに位置する天台宗の寺院。平安時代から代々皇室(親王・法親王)を門主(住職)に迎える“門跡寺院”で、江戸時代には後桜町上皇の仮御所となり“粟田御所”とも称されます。「青蓮院旧仮御所」として国指定史跡。境内には室町時代の芸術家・相阿弥が作庭した「相阿弥の庭」(現在の姿は明治時代に近代京都の名庭師・七代目小川治兵衛により改修されたもの)、大名茶人・小堀遠州作庭の「霧島の庭」、遠州流の大森有斐の庭があります。
京都の代表的な観光エリアの清水寺・高台寺・円山公園・知恩院エリア〜平安神宮エリアの道すがらにある「青蓮院」。これまで何度も訪れていますが、2026年4月に訪れた際の写真を追加して改めて紹介。
その創建の歴史は平安時代にさかのぼり、伝教大師・最澄が比叡山延暦寺を建立するにあたり山内に造った“青蓮坊”を前身とします。平安時代末期に京都の中心部に移転。その頃から先述通り皇室を迎える“門跡寺院”となり、その伝統は明治時代まで続きました(なので「青蓮院門跡」とも表記されます)。現在の門主(住職)・東伏見慈晃さんもルーツは皇室で父親が旧東伏見宮邸『吉田山荘』で過ごした東伏見慈洽。
『大原三千院』、『妙法院門跡』とともに比叡山延暦寺の“三門跡”にも並び称される格式の高さをほこり、数多くの国指定重要文化財を所蔵するほか、山の上にある飛地境内の『将軍塚青龍殿』には国宝の“青不動明王”が安置されています。
通りから見える長屋門をはじめ、その先にある(順路で言うと終盤の)「宸殿」や、狩野派によって描かれた襖絵の美しい「小御所」など建築もその格式にふさわしい立派なものが多いのですが、現在の伽藍は1893年(明治26年)の火災以降に再建・移築されたものが中心。その中で道沿いから姿の見える「長屋門」と「四脚門」は明正天皇(江戸時代前期の天皇)の御殿より移築され、焼失を免れ今日まで残るもの。
その庭園は「相阿弥の庭」、小堀遠州による「霧島の庭」、好文亭前の「大森有斐の庭」、そして宸殿前の苔庭の主に4つのエリアから構成されます。
■相阿弥の庭(主に6〜19枚目)
後桜町上皇の仮御所となった際に上皇が使用した「小御所」や「華頂殿」から眺められる池泉鑑賞式庭園。庭園の作者として名が残る相阿弥は室町時代の芸術家で、世界遺産の『銀閣寺庭園』や青蓮院の近くでは『長楽寺庭園』なども手掛けたと言われます……が、現在の庭園は先述の明治時代の火災の後に、七代目小川治兵衛(植治)により改修されたもの。
室町時代からあったとされる“龍心池”を中心とし、粟田山の斜面を利用した回遊式庭園。当初の遺構とされるのは対岸の“洗心滝”と言われる滝石組で、築山泉水式庭園っぽい雰囲気は江戸時代以降に手が加えられた点?、そして一部貼られている芝生とかは明治以降に加わったもの。くすんだ青い池が特徴的な名園だと思う!
また小御所の前には豊臣秀吉が寄進したとされる“一文字型手水鉢”があります。
■霧島の庭(20〜24枚目)
大名茶人・小堀遠州作庭と伝わる苔庭。その名の通りキリシマツツジが多く植えられています(4月下旬〜5月初旬に訪れれば鮮やかな花に彩られているかも)。頭上は一面のモミジ。秋には一面の紅葉が見られそう。
■好文亭(25枚目)
順路では霧島の庭の後、相阿弥の庭の背後に後桜町上皇が御学問所とした「好文亭」があります。平成年代の1993年に放火により焼失し、現在の建物は1995年に再建されたもの。季節ごとに特別拝観があります。
■宸殿前庭(4〜5、27〜29枚目)
徳川秀忠の娘で後水尾天皇に嫁いだ東福門院和子の旧殿をルーツとする宸殿の前には一面の苔庭があります(*現在の宸殿は明治の火災後の再建)。苔庭の中には江戸時代に仮御所になった時代に京都御所に倣って植えられた「右近の橘、左近の桜」があり、引きで見ると建築越しの東山の風景が美しい!
またこの宸殿前のもの含め、青蓮院に5本あるクスノキの大木は“青蓮院のクスノキ”として京都市登録天然記念物。これは親鸞聖人により手植えされたとも伝わり樹齢800年以上の歴史を持ちます。
そのほか受付前に現代に作庭された枯山水庭園や本堂裏に“西方浄土”を表した石庭も。また華頂殿の襖絵は現代京都の作家・木村英輝さんによる作品で、京都市内の様々な場所で見掛けますが、青蓮院の近くでは『京都トラベラーズ・イン』でもその作品が見られます。
例年、秋には紅葉ライトアップも行われる青蓮院、観光ルート上にある割には立ち寄る人も比較的少ない京都の穴場寺院の一つ(最近は一時期よりは拝観者が増えてきたかも?)。ぜひ立ち寄ってみて。
(2016年12月、2019年10月、2020年6月、2022年1月、2023年1月、2026年4月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)
アクセス・住所 / Locations
京都市営地下鉄東西線 東山駅より徒歩6分
京阪本線 三条駅より徒歩20分弱
最寄りバス停は市バスなら「神宮道」バス停下車 徒歩3分、または岡崎ループ「青連院前」バス停下車すぐ
〒605-0035 京都府京都市東山区粟田口三条坊町69-1 MAP
投稿者プロフィール

- Instagram約9万フォロワーの日本庭園メディア『おにわさん』中の人。これまで足を運んで紹介した庭園の数は2,000以上。執筆・お仕事のご依頼も受け付けています!ご連絡はSNSのDMよりお願いいたします。
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