建築家・内藤廣設計の石州瓦に覆われた建築がリフレクションする水盤庭園。スカイツリーをデザイン監修した澄川喜一の彫刻作品も。
島根県芸術文化センター グラントワについて
“グラントワ”の愛称で知られる「島根県芸術文化センター」(しまねけんげいじゅつぶんかせんたー)は『島根県立石見美術館』と大ホール・小ホールのある『島根県立いわみ芸術劇場』で構成される複合芸術文化施設。設計を内藤廣建築設計事務所が手掛けています。
2021年7月、約5年ぶりに島根県最西の市・益田へ。益田にはかの“画聖”雪舟等楊の代表作“雪舟四大庭園”のうち2つが残り、メインはその庭園への再訪だったけれど、ついでに立ち寄ったのがグラントワ。和風庭園…ではないけど、庭園/ランドスケープとも親和性の高い内藤廣さんの建築はこれまでも紹介しているので紹介。
JR益田駅から雪舟庭園へと向かう道すがらに見える、島根県の特産品“石州瓦”で覆われた赤色の現代建築が2005年10月に開館したグラントワ。
前述通り美術館と劇場が一体となった県立美術館としては珍しい施設で、その他にもミュージアムショップやレストラン・カフェ等を目的に地元の方々に親しまれています。
施設の中央にあるのが、28万枚の石州瓦が用いられた建築と青空がリフレクションする水盤庭園。“中世ヨーロッパの広場をイメージ”した庭園で、お祭りやバザールなどのイベントが開催されることも。十日町の『キナーレ』も好きだけどこの庭の雰囲気も独特。
この水盤庭園のほかにも、芝生と築山の開放的な前庭や吹き抜けには地元・石見(鹿足郡)出身で『東京スカイツリー』のデザイン監修などもつとめた彫刻家・澄川喜一さん(グラントワセンター長/東京藝術大学名誉教授)による彫刻作品が複数展示。(『おろち』『OROCHI 2005』)
石見美術館のコレクション展の柱は“石見地方の美術”、石見ゆかりの“森鴎外ゆかりの作品”、そして“ファッション”。この規模の美術館でファッションが軸の一つというのはここの特徴。
大ホールへと至る建物の雰囲気もかっこいいのですが、建築の段階から音響にもめちゃめちゃこだわっているそう。なかなかライブの為に益田へ来るということはないだろうけど…、いつかここでのコンサート見てみたい。蓮沼修太フィル招聘されたりしないかな。
これまでBCS賞(建築業協会賞)やしまね景観賞大賞、UD賞(アーバンデザイン賞)、公共建築賞・特別賞などを受賞しているこの建築。目が行ったのは「甍賞」。同じように現代的な庭園のあった『観音寺市斎場“燧望苑”』もこの賞を受賞されていたなぁ。雪舟庭園巡りとあわせてぜひ立ち寄ってみて。
(2021年7月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)