雪舟山水郷・大喜庵庭園

Taikian Temple & Sesshu-no-sato Museum Garden, Masuda, Shimane

“画聖”雪舟禅師終焉の地で見られる2つの庭園。雪舟庭園の面影ある“大喜庵庭園”と現代の枯山水庭園“八景園”。

庭園フォトギャラリーGarden Photo Gallery

雪舟山水郷(大喜庵庭園・雪舟の郷記念館)について

「雪舟山水郷」(せっしゅうさんすいきょう)は水墨画で有名な室町時代の禅僧・雪舟の終焉の地である島根県益田市の『東光寺』の跡地一帯に開かれた歴史文化ゾーン。東光寺の後継寺院『大喜庵』や『雪舟の郷記念館』のほか、雪舟の墓所や銅像があります。日本遺産『中世日本の傑作 益田を味わう -地方の時代に輝き再び-』の構成文化財。

島根県最西の市・益田にはかの“画聖”雪舟等楊の代表作“雪舟四大庭園”のうち2つ『医光寺庭園』『萬福寺庭園』が残ります。2021年7月、約5年ぶりに益田の雪舟庭園を巡りました!

で、2つの庭園からは少し離れていますが、雪舟が晩年を過ごしたと伝わるのがこの場所。かつてこの場所にあった『白水山 東光寺』の歴史は、鎌倉時代に中世の石見を治めた益田氏の一族・多根兼政により菩提寺として建立。室町時代には南宗士綱が再興し、京都『東福寺』から住職が派遣される等、益田を代表する大寺院に。

雪舟は東光寺のある山の中腹から吉田平野~日本海側への眺望が、禅を学んだ中国の洞庭・瀟湘の景に似ていることでこの地を好み、晩年の明応年間の終わり(1501年)にこの地へ移住。その後にこの地で最期を迎えました。
(ちなみに山口市の雪舟のアトリエ『雲谷庵』の文化財の解説では“雲谷庵で没した”とあるけど、どちらかと言えば益田で没したという方が今のところ正しいみたい。)

そんな由緒ある寺院も戦国時代の終わり、天正年間に焼失。現在建つ『大喜庵』は1702年(元禄15年)、雪舟禅師200回忌にあたり当地の僧・大喜松祝が建立した庵で、東光寺から引継がれたご本尊・木造観音菩薩立像(島根県指定有形文化財)が鎮座します。

その周囲には益田市指定史跡となっている雪舟の墓(乙吉大喜庵墓地雪舟墓)、雪舟が硯水や茶の水として使ったと伝わる“雪舟硯水霊巌泉”、そして山の斜面を活かした池泉鑑賞式庭園“大喜庵庭園”があります。
庭園の脇には“雪舟禅師面影石”や雪舟お手植えの椿もあるし、各地の雪舟庭園らしい面影も感じる庭園だけれど、“雪舟庭園”の雰囲気を模して大喜庵の建立時に作庭されたものかな。

その大喜庵の隣接地に雪舟山水郷の中核施設として1990年(平成2年)に開館したのが『益田市立雪舟の郷記念館』。雪舟や益田氏に関する各種展示の他に、益田家に代々伝わった雪舟筆の『紙本著色益田兼尭像』(国指定重要文化財)を所蔵しています。
益田の名勝八景を表現した枯山水庭園“八景園”は熊本光三さんによる作庭。こちらもかっこいい庭園!

(2021年7月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

JR山口線・山陰本線 益田駅より徒歩20分強(駅にレンタサイクルあり)
益田駅より路線バス「雪舟記念館入口」バス停下車 徒歩7分

〒698-0003 島根県益田市乙吉町イ1149 MAP

投稿者プロフィール

イトウマサトシ
イトウマサトシ
Instagram約9万フォロワーの日本庭園メディア『おにわさん』中の人。これまで足を運んで紹介した庭園の数は1,900以上。執筆・お仕事のご依頼も受け付けています!ご連絡はSNSのDMよりお願いいたします。
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