福山駅から程近くの美術館と庭園。福山通運/ベッセルグループ創業者・澁谷昇の旧自邸に残る和風庭園と茶室。
しぶや美術館・旧澁谷昇邸庭園について
「しぶや美術館」(しぶやびじゅつかん)は日本100名城『福山城』の北東部にある私設美術館。現在は福山通運の創業者・澁谷昇の旧宅に展示室(本館)があり、その敷地内には庭園や茶室も残されています。
2021年春に初めて訪れました。JR福山駅や先に紹介した『福寿会館』からもほど近く。
福山通運の他にも「ベッセルイン」「ベッセルホテル カンパーナ」等で知られるベッセルグループを創業した実業家・渋谷昇。渋谷家は福山の郊外で庄屋をつとめた旧家で、福山通運創業以前には土木建築業・不動産業を営んでいました。なお『福寿会館』が福山市所有となる過程でパトロンになったのも渋谷昇。
氏の晩年の1993年(平成5年)、所蔵していた美術品を寄贈という形で開館したのがしぶや美術館。
当初は市内のホテル(福山ニューキャッスルホテル)内に開かれましたが、渋谷の死後の1996年(平成5年)に旧渋谷邸に別館が開かれ、2003年(平成15年)に完全移転。
展示室のある新館は2003年に新たに建立されたものですが、玄関となる本館は旧渋谷邸の面影をそのまま残した純和風建築。いつ頃の建立かは聞きそびれてしまったけど、福山大空襲後の戦後かなあ…。
『福寿会館』の贅を尽くした近代建築感と比べると《福山通運の創業者》の邸宅にしては質素にも思える。美術品の収集もそうだけど、福寿会館だけじゃなく私財から市民の教育や健康のための財団法人を設立している――ということを考えると、地元や市民への貢献にお金を投じることを望み、自分の身の回りは質素でいい、と考える人だったのかもしれないなぁ。
邸宅を囲む形で和風庭園が残されています。これも決して派手派手しいものではないけど、座敷からお茶・コーヒーを飲みながらまったり眺めていたい庭園。そして本館と新館の間には往時渋谷翁が楽しんだ茶室が残されています。
展示室内では渋谷が特に好んだ画家・小林和作の作品を中心に、備後地方ゆかりの作家を中心に展示。訪れた時には市民展だった。旅行の途中にも立ち寄ってみて!
(2021年5月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)