淡河宿本陣跡庭園

Ogo Honjin Garden, Kobe, Hyogo

佐藤健/高橋一生も訪れた庭園…江戸時代中期/明治時代の本陣建築を地域の有志が利活用した、神戸の里山を愛でる古民家カフェ。日本でここにしかない全面茅葺建築も。

庭園フォトギャラリーGarden Photo Gallery

淡河宿本陣跡庭園について

「淡河宿本陣跡」(おうごじゅくほんじんあと)は神戸市北区の旧・淡河町に江戸時代から残る旧本陣・お屋敷。現在は地元の有志により立ち上げられた「一般財団法人淡河宿本陣跡保存会」により、カフェやお食事処「本陣 なな福」/フリーバザール/レンタルスペース/そしてイベントの場として利活用。近年は佐藤健さん・高橋一生さんらが出演した『るろうに剣心 最終章 The Beginning』のロケ地にも。お茶室や庭園も残ります。

神戸と言っても中心部・三宮からは約20km、六甲〜有馬の更に北に位置するこのお屋敷。三宮からバスを乗り継いで2023年1月に初めて訪れました。(*三宮からの直通バスもあるけれど数は少なく、三田駅からのバスが多い)

なお、この場所を知ったきっかけは兵庫県の若手庭師、藤本計司(庭計)さんのInstagramから。「淡河宿本陣跡保存会」の一員でもあり、このお屋敷の庭園再生や新たな庭園作庭などにも関わっている藤本さんへのインタビューが庭園専門誌『庭NIWA』vol.251に掲載されます。当サイトでの記事はそれとは別に、施設そのものの紹介。

その歴史について。古くは飛鳥時代〜中世/戦国時代に織田信長羽柴秀吉(豊臣秀吉)羽柴秀長(豊臣秀長)の西国攻めで滅ぼされるまで長く播磨で活躍した豪族・淡河氏が拠点とした淡河。淡河氏のルーツは北条政子北条義時と共に鎌倉時代初期に活躍した北条時房の子〜孫・北条時治(淡河時治)、北条朝盛で、荘園の名にちなんで淡河姓を名乗るように。

淡河氏に代わって有馬則頼が淡河城に入ると秀吉の指示の下で、有馬温泉を目指す「湯の山街道」の宿場町として整備された淡河。その面影を感じる緩やかなカーブの中心にあるのがこの「淡河宿本陣跡」。当地の大庄屋だった村上家のお屋敷は江戸時代には姫路藩主・池田氏や明石藩主・小笠原氏の本陣として利用されました。

そんな歴史ある本陣も昭和年代から約60年に渡って無住に。そうなると古いお屋敷が取り壊されてしまうこともままある中で、この淡河宿本陣跡は地元の有志により保存会が立ち上がり2015年に保存会が取得。

以来、お屋敷の掃除や電気工事などゼロから整備がはじまり、また各種ワークショップやイベント(お祭り)を通じて老若男女の地域の人々が関わる場所となり、冒頭の通り現在はさまざまな目的で利用されています。現在では美しいお座敷や茶室の姿を見ることができますが、公式サイトには取得直後の草ボーボーのお庭の写真もあるので、あわせて見ていただけると「庭園が綺麗に後世に残ることが当たり前ではない」ことが実感できる…。

最も歴史ある建築では西座敷と茶室が江戸時代中期から残る建物、玄関から近い南座敷は明治時代末期(1912年)に増築されたもの。そして蔵は綺麗なお食事スペースにリノベーション。西座敷の五輪のマークみたいな欄は江戸時代の作とは思えないモダンさ…!

そして庭園も、西海園芸・山口陽介さんの庭剪定ワークショップを経て、現在は冒頭でも紹介した庭計・藤本計司さんにより庭園の管理とアップデートが進行中。主座敷の前に広がる回遊式枯山水庭園を主体としてお屋敷を取り囲むように幾つかのお庭が見られます。

(1)玄関前庭(4、5枚目)
(2)主庭園へと至る南座敷の側庭(1、10、17枚目)
(3)西座敷の前の主庭園(11〜14、18〜23枚目)
(4)中庭(24〜25枚目)
(5)茶室/お社の前庭(26〜28枚目)
このうち(1)(2)(5)が現代(令和年代)に藤本さんにより作庭されたもので、地元・淡河で出た石材や樹木が活かされながら作庭されています。

そして(3)は建築年代と同じだとすると江戸時代〜明治時代から残る古庭園…になりますが、誰がどのような意図で作ったか…というよりは保存会の方々が蘇らせた庭園、といった意味合いが強い庭園。傘がない、けどめちゃデカい化け燈籠も意図したものではない(空き家期間が長かった影響やその間に起こった震災)かもしれないけど、これはこれでとてもユニーク。

あと建物との関係性や庭石、深い堀の感じとかは場所が比較的近いところでは三木市の『旧小河氏庭園』と近い気もするな…。

歴史的な建築の中で、庭園を見ながら喫茶できる…それだけで◎なのですが、更に面白いのが中庭の奥にあるお社(戎神社)。
建物全体が茅葺という一風変わった…けれどめちゃくちゃかっこいいお社は淡河町出身の茅葺職人・相良育弥さんが世界の茅葺技術を取り入れながら制作した“日本でここにしかない”茅葺建築。淡河を歩くと他にも新しい茅葺屋根があったりするのはこの方によるこの方にしか出来ないまちづくり…!

Wi-Fiもあるのでリモートワークやワーケーション…エンガワーキングにも。もう一つの神戸の古民家カフェ、ぜひ訪れてみて。

(2023年1月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

神戸三宮バスターミナルより路線バス「淡河本町北」バス停下車 徒歩1分
JR三田駅より路線バス「淡河本町」バス停下車 徒歩1分
*いずれも本数は少ないので、事前にバスの乗継/時刻表をご確認ください

〒651-1603 兵庫県神戸市北区淡河町淡河792-1 MAP

投稿者プロフィール

イトウマサトシ
イトウマサトシ
Instagram約9万フォロワーの日本庭園メディア『おにわさん』中の人。これまで足を運んで紹介した庭園の数は1,900以上。執筆・お仕事のご依頼も受け付けています!ご連絡はSNSのDMよりお願いいたします。
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