旧玉置家住宅

Former Tamaki Residence Garden, Miki, Hyogo

遠く上州館林藩により江戸時代に建築された町家に残る“京町家の庭”のような雰囲気の庭園と国登録有形文化財の近代和風建築。

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旧玉置家住宅について

「旧玉置家住宅」(きゅうたまきけじゅうたく)は兵庫県三木市の中心部、神戸電鉄・三木駅の程近くにある国登録有形文化財の町家建築。江戸時代後期〜明治時代に建築された主屋・離れ・廊下・東土蔵・西土蔵・北土蔵の6棟が文化財で、主屋座敷から眺められる庭園があります。

国登録名勝&兵庫県指定名勝の文化財庭園『旧小河氏庭園(旧小河家別邸)』を目的に2022年春に初めて訪れた三木で見られるもう一つの庭園がこちら。小河家と異なり庭園は非文化財だけど、この町家の庭もすごく良い!

戦国時代には羽柴秀吉が攻め落とした『三木城』の城下町だった三木、江戸時代中期の1747年(延享4年)から1842年(天保13年)までの期間は遠く関東の上州・館林藩の飛び地領になりました。その館林藩が財政立て直しを図るために1826年に設立した“切手会所”(=現在で言う銀行)として建築・利用されたのがこの町家で、明治維新後の1875年(明治8年)に玉置家に所有が移りました。

玉置家の初代となる玉置大器氏は元は『雲龍寺』の21世紀住職で“大器晩成大和尚”と名乗っていたそう。“大器晩成”がそのまま名前になっていた人って居たんだ…。この建物の取得とともに僧籍を去って還俗。三代目の玉置福蔵氏は小河家別邸の小河秀太郎とともに三木銀行の設立に携わりました。

現在残る建築のうち母屋と南蔵が江戸時代後期のもの、そして渡り廊下・離れ・土蔵2棟が玉置家の所有になって以降に増築された明治時代の近代和風建築。離れ座敷では違い棚や欄間、襖などに素敵な意匠が見られます。邸内には勝海舟の筆とされる《抱朴含真》の書も。

母屋と渡り廊下、離れ座敷と通路の四方から眺める中庭はおそらく建築年代と同じく近代に作庭されたもの。京町家の庭のような雰囲気があってとても良い。このお庭を眺めながら喫茶も可。
なお離れ座敷の奥にも美嚢川を借景に眺め見る庭園(外庭)があります。この芝生の庭園は新しく作庭された雰囲気がある。小河家の庭園とあわせてチェック!

(2022年5月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

神戸電鉄粟生線 三木駅より徒歩5分
三宮駅・明石駅・厄神駅から路線バス「三木中町」バス停下車 徒歩3分

〒673-0431 兵庫県三木市本町2丁目2-17 MAP

投稿者プロフィール

イトウマサトシ
イトウマサトシ
Instagram約9万フォロワーの日本庭園メディア『おにわさん』中の人。これまで足を運んで紹介した庭園の数は1,900以上。執筆・お仕事のご依頼も受け付けています!ご連絡はSNSのDMよりお願いいたします。
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