浜松・三遠地方の梅の名所。『足立美術館』で有名な作庭家・中根金作に師事した庭師・栽松軒・渡辺強さんが再生中の流水庭園にも注目!
花の奥山高原“しだれ梅流水庭園”について
「花の奥山高原」(はなのおくやまこうげん)は遠州/静岡県西部を代表する寺院『奥山方広寺』の西方、愛知県と面する富幕山の中腹に広がる観光植物園。初春(2月下旬〜3月上旬)に開花するしだれ梅の名所『しだれ梅流水庭園』があります。
『方広寺』と同じく子供の頃に訪れた記憶があるけど、物心ついて以降は訪れた記憶がほぼ無かった奥山高原…2022年4月、大人になってからは初めて訪れました!自分が訪れた時期は梅の見頃は過ぎ、ツツジの花が咲き始めた頃。(梅の開花写真は施設よりご提供いただいた写真です。)
遠州灘や浜名湖など海のイメージの強い浜松において、その名の通り標高350メートルの場所に開かれた『レジャーランド奥山高原』。約50年前、昭和の中期に開業した当初は観覧車やミニジェットコースター、ゴーカート等のある遊園地でした。
しかし時代も昭和から平成に移ろい、2009年に経営母体が変わったことを機に遊園地がメインの施設から自然とふれあう植物園的な施設へと徐々にリニューアルが進行。その名も『花の奥山高原』へ。
その目玉的な存在が“しだれ梅”。園内の中心部にある池泉回遊式流水庭園の周囲に約80本の枝垂れ梅が植栽され、2月下旬〜3月上旬に白〜ピンク色の花で彩られます。それに続き3月下旬〜4月上旬には300本のソメイヨシノをはじめとする桜や花桃、それ以降もツツジ・サツキ・1万株のアジサイ・ササユリなど季節の花々が園内を彩ります。
そして近年修復・整備が進むのが流水庭園の石組と大滝。
台湾から輸入された巨石による約30mにも渡る“七段の滝”の原型は昭和の開園当時に造園されたもの。その際に施工を手がけたのは浜松では大手の造園会社・天龍造園建設さん。当時の社長・稲勝氏は浜松・遠州地方の人なら知らない人は居ないレジェンド「金原明善」の流れを汲むとか。
近年、現代京都の人気作庭家のひとり・北山安夫さんの「このままにしておくのはもったいない、是非手を入れて整備したらどうか」というアドバイスの下、この流水庭園の再生がスタート。2022年現在もその最中で、理想系に近づくのはもう2〜3年かかるとか。
なおその再整備を手掛けているのは方広寺御用達の庭師・栽松軒の渡辺強(渡邊松友)さん。この渡邊さん、『足立美術館』で有名な磐田市出身/京都で活躍された作庭家・中根金作(中根庭園研究所)さんの下で修行をされて、地元の遠州で独立をされた方。
これまで紹介した浜松・遠州の庭園の中にはこの方が関わっている庭園が他にも幾つかある、“浜松の日本庭園”のキーパーソン的人物…。
そしてこの庭園の特徴は「愛犬と一緒に散策できること」。園内の高台部にはドッグランがあり、そこへ至る途中にワンちゃんとともにこの庭園の周囲を散歩することもできます。
ドッグラン以外にもパターゴルフや釣り堀が営業され、近くにはサバゲー場も。アウトドアを楽しみつつ、その庭園や山々の風景も味わってみて。
(2022年4月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)
アクセス・住所 / Locations
JR東海道新幹線 浜松駅・天竜浜名湖鉄道 金指駅より路線バス「奥山」バス停下車 徒歩35分(現実的には自家用車一択)
〒431-2224 静岡県浜松市北区引佐町奥山堂の上1736-1 MAP