“日本の公園の父”本多静六が手掛けた福岡のオアシスの中に、“足立美術館”中根金作が作庭した庭園。国登録名勝。
大濠公園 日本庭園について
「大濠公園」(おおほりこうえん)は江戸時代に福岡藩初代藩主・黒田長政が福岡城の外濠とした“大濠池”を中心とした水景公園。設計は“日本の公園の父”本多静六と助手・永見健一で国登録記念物(名勝地)にもなっています。その公園の南部にある日本庭園は『足立美術館』の庭園で知られる現代の作庭家・中根金作の設計。
2021年末に推しのライブを見に福岡遠征をした際に約5年ぶりに訪れました。5年前と日付・時間がほぼ同じだったので、影の入り方もほぼ同じ…。
福岡市中心部の代表的な都市公園・大濠公園。散歩やランニングを講じる人、美術館やスタバに訪れる人、ここまで多くの市民が利用している大規模公園も珍しい。
大正時代終わりに公園としての整備計画が採択され、公園として開園したのは1929年(昭和4年)。現在大濠池の中にある、松林が印象的な中の島(柳島・松島・菖蒲島)はその整備された際に造営されたもので、本多静六設計の公園としては名古屋の『鶴舞公園』と並んで国登録名勝という文化財的な価値もある公園。
そんな公園の南部分にあるのが日本庭園。1984年(昭和59年)に公園開園50周年を記念して作庭された12,000平方メートルの築山林泉廻遊式庭園で、設計は中根金作。また園内には茶室研家の大家・中村昌生さん設計/京都の数寄屋建築の名匠・安井杢工務店施工による茶室(茶会館)もあります(茶室は時間貸での利用者のみ)。
■大池泉庭
庭園の大部分を占めるのは“大池”を中心とした池泉回遊式庭園その長方形の池泉は“大濠家”の縮景のよう。池に浮かぶ3つの島はそれぞれ不老長寿、永劫の繁栄を意味する“神仙三島”蓬莱島・方丈・瀛州を表現――なんだけど、大濠池の3つの中の島へのオマージュも込められているのかなとも思う。
池の周囲には緩やかな築山が設けられ、池中央の“三段落ちの滝”のほか“布落ちの滝”“渓流の滝”という三箇所の滝からそれぞれ違う景の滝石組を楽しむことができます。また周囲の高い樹木は都会のど真ん中といった世界から遮断させている。
■枯山水庭
大池泉庭から小川を主体とした庭園を眺めながら庭園奥・西門の方へと向かった先にあるのが白砂と宮崎・椎葉石による枯山水庭園。
この枯山水庭の先の西門から出てすぐの場所に、2021年新たに『大濠テラス 八女茶と日本庭園と』がオープン。…「パンとエスプレッソと」みたいな名前だけど関係はなさそう…?笑
■福岡市美術館
おまけ。公園内には巨匠・前川國男の設計による福岡市美術館もあります。2019年にリニューアルオープンしてからは初めて近くに来たので、久しぶりにコレクション展を鑑賞。
その中には“近代三大茶人”のひとり、松永耳庵こと“昭和の電力王”松永安左エ門がコレクションした茶道具・古美術品のコーナー『松永記念館室』も。ああ、これは以前はあまり興味なくてスルーしてたコーナーだ…今回は楽しく鑑賞。松永耳庵は近代の大濠公園の再生にも意見していたことも。
美術館中庭にはそんな松永コレクションの礎石や室町時代の石塔、そして現代芸術家・李禹煥の『関係項』が配されている。
そのほかフォトスポット的な屋外作品として、草間彌生のカボチャは以前から有名ですが、リニューアルオープンで新たにインカ・ショニバレCBE《ウィンド・スカルプチャー(SG)II 》。庭園を訪れた際にはぜひ美術館もチェックしてみて。
(2013年11月、2016年12月、2021年12月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)
アクセス・住所 / Locations
福岡市地下鉄空港線 大濠公園駅より徒歩10分強
福岡市地下鉄七隈線 六本松駅より徒歩10分強
最寄りバス停は「福岡城・NHK放送センター入口」バス停 徒歩3分
〒810-0051 福岡県福岡市中央区大濠公園1-7 MAP