350年以上続く金沢の窯元に隈研吾が手掛けた建築と、いけばな草月流三代目・勅使河原宏作庭の庭園。
大樋美術館について
「大樋美術館」(おおひびじゅつかん)は江戸時代より金沢で続く窯元“大樋焼”の歴代の茶道具を中心に展示する美術館。併設する“大樋ギャラリー”と茶室“年々庵”及び庭園の設計は隈研吾、美術館の前庭“風庭”はいけばな草月流の三代目・勅使河原宏による作庭。またその茶室のある和風建築は江戸時代末期に建築された金沢市指定保存建造物「旧森快安邸」でもあります。
大樋焼。今回訪れて初めて知りましたが、江戸時代初期に5代目加賀藩主・前田綱紀が茶道裏千家・仙叟宗室を通じて京都の楽焼の名家“樂家”の最高弟・土師長左衛門と繋がったことで、加賀藩の御用達焼き物になり、それ以来300年以上続いている窯元。
主屋は元は加賀藩医・森快安の邸宅として1860年(万延元年)に建てられたもの。道路からも見上げられる大きなアカマツは樹齢約600年という名木で“折鶴の松”と呼ばれます(こちらも金沢市の指定保存樹)。
その後昭和の中ごろに大樋家が購入。平成に入り1990年に美術館が開館、2014年に隈研吾によって道路に面しているギャラリーが手掛けられました。このギャラリーでは十代/十一代目・大樋長左衛門の作品を購入することも可。
そのギャラリー内に母屋への入口があり、美術館を鑑賞または茶席に参加された方はご案内いただけるとのこと(撮影は禁止)。隈研吾の手掛けた茶室「年々庵」からはじまり、前田家18代目命名の“松濤間”、裏千家11代・玄々斎命名の“芳土庵”、15代鵬雲斎命名の“陶土軒”などが残ります。なお“年々庵”の為に千住博さんによって制作された襖絵は現在は美術館の方で見ることができます。
庭園は3箇所。まずは美術館前にある苔庭“風庭”。こちらは草月流・勅使河原宏さんによる作庭&命名。そして“折鶴の松”のある主庭は前田家18代目当主により名付けられた“松濤庭”。
そして場所がはっきりしないのは隈研吾がギャラリーとともに作庭したという庭園…トオリニワ的な美術館への園路と、暖簾のかかる元の門から続く飛び石の園路がそれなのかな…。これまで「隈研吾建築の庭園」は色々紹介してますが、庭園も隈さんと紹介されている例は珍しいかも?
(2020年10月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)
アクセス・住所 / Locations
JR北陸新幹線 金沢駅より2km弱(徒歩25分弱。市内各地にレンタサイクルあり)
金沢駅より路線バス「橋場」バス停下車徒歩2分
〒920-0911 石川県金沢市橋場町2-17 MAP