直方歳時館

Noogata Saijikan Garden, Nogata, Fukuoka

“筑豊の五大炭坑王”堀三太郎の自邸として明治時代に造営された近代の和風建築と借景の美しい枯山水庭園。

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直方歳時館について

「直方歳時館」(のおがたさいじかん)は“筑豊の五大炭坑王”のひとり・堀三太郎の自邸とし明治時代に造営された近代和風建築と日本庭園。

2020年12月に初めて訪れました。直方に訪れるのは3年ぶり…前回は宿が博多近辺に取れずなんとか取れたのが直方みたいな感じで訪れて、そこから飯塚で“筑豊の五大炭坑王”のうちの2つ、『旧伊藤伝右衛門邸庭園』(国指定名勝)と麻生太吉『麻生大浦荘』を訪れました。直方はレトロな商店街はぷらぷらしたけど庭園があるとは知らなかった…。

直方の町を見下ろす高台にある直方歳時館。江戸時代に直方藩の『御茶屋御殿』があったという地(だから最寄り駅に“御殿口”とつくのか!)の近隣地を取得、邸宅が造営されたのは1898年(明治31年)。これは伊藤伝右衛門邸や麻生大浦荘よりも古く、その時の堀三太郎は31歳という若さ。

この堀三太郎という人、元々は直方の醤油屋生まれ。炭鉱夫に醤油を卸売していた所から炭鉱の経営を手伝うことになり、23歳の時に自らの炭鉱を経営…と“炭鉱王”と呼ばれる人の中でも異色の経歴。
大正時代には衆議院議員や筑豊貯蓄銀行の頭取もつとめ、昭和初期には九州財界の重鎮として活躍。しかし麻生家や安川家と違い子孫に事業を残さなかった?のでこの方自身の情報もあまりないという。

この邸宅は戦前の1941年(昭和16年)に直方市に寄贈。その後「堀クラブ」「直方市会館」「直方市中央公民館」として名前を変えながら市民に親しまれ、この場で結婚式を挙げた市民の数はこれまで3,000組!
建物の老朽化にともない平成年代に修復・復原。それを機に名前を「直方歳時館」と改められました。“ゆったりと時を感じる・味わう・漂う館”という想いが込められているそう。現在は『直方谷尾美術館』などと同じく公益財団法人直方文化青少年協会が指定管理者として管理・運営をされています。

その庭園は直方地域で最も高い福智山山系を借景とした回遊式の枯山水庭園で、その庭石の立派さが“炭鉱王の庭”という雰囲気を醸します。訪れた時期はモミジの紅葉が良かったけど、春には青い芝生やツツジ・サツキの花がお庭を彩りそう。

見学は施設利用の予約状況によりますが(地域の学習施設なのでその予約が優先)、そこでの差支えがなければ受付後に無料で見学が可。自分が訪れた時も半分以上の部屋が予約で使われていたので、その歴史にしても「本当に市民に親しまれている施設なんだな」と感じた。文化財ではないけど古民家の活用度では活発な方では。
別途費用でコーヒーやお抹茶をいただくこともできます。見学は無料だけど、ぜひ一服しながらお庭を眺めて。

(2020年12月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

JR福北ゆたか線 直方駅より徒歩10分強
平成筑豊鉄道 南直方御殿口駅より徒歩6分
筑豊電鉄 筑豊直方駅より徒歩20分

〒822-0015 福岡県直方市新町1丁目1-18 MAP

投稿者プロフィール

イトウマサトシ
イトウマサトシ
Instagram約9万フォロワーの日本庭園メディア『おにわさん』中の人。これまで足を運んで紹介した庭園の数は2,000以上。執筆・お仕事のご依頼も受け付けています!ご連絡はSNSのDMよりお願いいたします。
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